ホンマでっか池田教授が熱弁。ベーシックインカムで「世界人口20億人社会」実現の可能性は?

 

ところが最近、AIの急激な進歩によって多くの労働はAIが代替できるようになってきた。特に、いわゆるホワイトカラーの中でも、事務職や会計・経理などはAIが得意とするところで、アメリカではこれらの職種の人が大量に首切りにあっている。一方、ブルーカラーに関しては、定型作業(単純ライン作業、レジ打ちなど)はAIに代替されて生身の人間は淘汰されていくが、大工、左官、といった職人技が必要な職種や、建設、土木といった状況に応じて臨機応変な判断が必要な職種は、今のところAIに代替させることは難しく、特殊な技術を持つブルーカラーの給与は上昇しているようだ。

しばらくは、この状態が続くだろうが、あと50年もすれば、汎用型AIが、食料生産から他の消費財の生産まで、あらゆる労働をこなすことができるようになるに違いない。もちろん汎用型AIと言ってもすべてをこなす必要はなく、得意不得意があってもいいが、人間の代わりに、ほとんどすべての労働を引き受けてくれるようになるだろう。

人間に給料を支払って働いてもらうより、AIを働かせた方がコストパフォーマンスがいいという時代はまず間違いなくやってくる。すると何が起きるか。多くの人が職を失い、収入がなくなる。AIがいくら素晴らしい製品を作っても買ってくれる人がいなくなるという事態になる。失業した人はもちろん困るが、製品を作って消費者に買ってもらおうという企業も大いに困る。

そこで、間違いなくベーシックインカムという話になると思う。ベーシックインカムは、国民に一定のお金を無条件かつ定期的に支給する制度のことで、国が何かをするための財源は税金だ、と信じ込まされている人にとっては絵空事と感じられるだろうが、私が『人はなぜ働かなくてもいいのか』で論証したように、充分、実現可能な制度なのである。詳しくは拙著を読んでほしい。

 

以下は、この本で書かなかったことを書いてみたい。人類がなるべく長くこの地球上に生存できて、個々人も自分が一番有意義だと思う生き方を全うするには、いかなる社会になるのが理想的かということを考えてみたい。長期にわたって持続可能な社会を作るために最も重要なのは、適正人口の安定性である。

2026年現在、世界人口は83億人強、国連の予測では2080年に103億人のピークに達するようだ。その後徐々に減少して、ウィーンにある国際応用システム分析研究所の予測では、2200年には現在の半分程度の40億人になり、2300年には10億人を下回るという。2080年まで世界人口が増え続けるというのは近未来の予測で、恐らくそれほど外れないだろうが、2300年に10億人という予測は、当たるも八卦当たらぬも八卦という話で、関与するファクターが多すぎてどれだけ信憑性があるのかわからない。

それとは別に持続可能な適正人口に関しては、比較的合理的に考えることができる。アース・オーバーシュート・デー(EOD)という指標がある。「グローバル・フットプリント・ネットワーク」という国際的な組織によって毎年設定され、人類のその年の資源消費量が、地球の再生能力を上回る日を示し、その日が早ければ早いほど、持続可能性は損なわれていく。1970年のEODは12月30日だった。この年の世界人口は37億人弱。このくらいの人口であれば、何とか持続可能性が保たれるというわけだ。2026年のEODは7月24日で、このままでは利用可能な資源は加速度的に減少していき、食料もエネルギーも不足するようになることは間違いない。

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