LINEもスマホもなかった昭和の方が“豊か”だった?心理学者が説く「便利断ちキャンプ」の驚くべき効果

 

人と人との直の触れ合い

 しかし、その「何か」を一言で表すのは難しいのです。

 たとえば、私たちは「便利なお店(コンビニエント・ストア)=略してコンビニ」が当たり前の時代に生きています。  それはそれで素晴らしい。  しかし、時々、駅前の商店街に並んだ「小売店」を懐かしく思い出すことはありませんか?  「魚屋さん」に「八百屋さん」、「肉屋さん」、「駄菓子屋さん」・・・  これらは、スーパーが当たり前となり、さらには、コンビニやアマゾンを誰もが使う時代となるにつれて、少しずつ姿を消して行きました。

 こうした昭和の個人商店には血の通った温かいコミュニケーションがありました。  店主とお客の関係が、いつの間にか、地域共同体の顔馴染みどうしを結ぶ「絆」を形作っていたのです。  昭和の主婦は魚屋さんや八百屋さんとの会話から、多くのことを学んでいました。  店主の方でも、常連のお客さんそれぞれの家庭の事情やら好みやらまで把握していて、そうしたマーケティングの知識が品揃えや客への「お薦め」にも反映していました。

 恋愛を巡る事情もずいぶん変わりました。  もちろん、「マッチングアプリ」などという危ないものは昭和には無かったのです。

 「LINE」が当たり前の今日では、便箋にしたためられた「恋文」を郵便で受け取るなどという、アナログでロマンチックなやりとりはめったに有りません。  誰もがケータイを持っている今日では、公衆電話のボックスから恋人の家に電話をするなどというスリル満点の冒険も不要になりました。

 相手の家の黒電話には、誰が出るのか分からないのです。  恋人のお母さん、いやお父さんが出るかもしれません。  ですから、誰が出ても良いように、できるだけ礼儀正しく、大学の同級生とか会社の同僚とか、パブリックな関係者が大切な用件を伝えるために電話をかけているかのように装わねばなりません。  昭和の恋愛には「演技力」も必要でした。

昭和にマインドトリップ

 ちょっとだけなら、昭和の時代に「タイムスリップ」してみたいと思いませんか?  あの頃には確かに有った、そして今は失くしてしまった「何か」を取り戻したいと思うのは私だけではないでしょう。

 方法はいくつもあるはずですが、簡単なものは「マインドトリップ(mind trip)」です。  自分の精神をあの頃に「時間旅行」させるのです。  時間の針を逆回しにして、「情報化以前」のアナログ時代へと逆行するのです。

 お薦めなのは、危ない薬を使わずに、当時の音楽や映像、なつかしい写真といった「小道具」を使うことです。  今、手元に何も無ければ、あの頃の「歌」を思い出して、アカペラや鼻歌で歌ってみるのも一案です。  もっとも、スマホさえあれば、YouTubeで音楽や映像をすぐに再生できますね。  こうした文明の利器はいくらでも使って良いのです。  大切なのはあの昭和の時代にドップリと浸ることです。

 できるだけ、他人に邪魔されず、一人っきりになれる場所を探して、ゆったりとくつろぎ、心と身体をリラックスさせてください。  呼吸を深くゆっくりと整えれば、「マインドトリップ」の準備はできました。

 小道具を見たり聴いたりしながら、当時の自分が夢中になっていたことを思い出し、もう一度あの時代を「追体験」してみてください。  失敗した恋愛をもう一度やり直したって良いのです。

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