竹中平蔵氏の重大な責任
近代の先進国において、政府が賃下げを推奨した事例というのは、おそらく小泉内閣時代の日本だけです。公務員の賃下げなどを行なった国はありますが、民間人の賃下げを企業に働きかけたのは小泉内閣くらいしかないのです。それくらい愚かな政策だったのです。
その結果、今の日本は、韓国よりも平均給料が安くなってしまいました。日本人の能力が韓国人よりも低いから賃金が下がったのではなく、小泉政権が賃下げを推奨容認してきたから日本人の賃金が下がったのです。
そしてアダム・スミスが指摘した「労働の報酬が豊かになれば、子供の成育条件が改善され、人口は増える。そして、庶民の働く意欲が増進し、勤勉な人が増える」ということと真逆の方向に日本は行っているのです。これだけを取ってみても竹中平蔵氏の責任は重大なものがあります。
竹中平蔵氏はおそらく「私は賃下げを企業に命じた覚えはない」などと言い逃れするでしょう。しかし、国というのは、最低賃金も決めているし、企業と労働組合の間に入って「調停」や「裁定」を行なう役割を担っています。いわば、賃金を決定する「審判」なのです。その審判役である国の経済財政担当大臣が、「企業よ、もっと賃金を下げろ」という主張を公言しているのです。
そして小泉内閣はその主張に応じて最低賃金を上げてきませんでした。経済社会が賃下げの方向に行くのは、火を見るよりも明らかです。
また小泉内閣では、製造業の派遣労働を解禁し、派遣労働者を急激に増加させました。これも日本人の平均賃金を下げた大きな要因となっています。
竹中平蔵氏は「賃下げは小泉内閣以前から始まっていた」と言い逃れするかもしれません。が、1990年代後半というのは、バブル崩壊後の混乱期であり、企業の業績も悪化していたために賃金が下がったという説明がつきます。
しかし、小泉内閣の時代は、すでにバブル崩壊の混乱からは脱しており、企業業績も上向いていました。前述したように史上最高収益を出している企業も多々あったのです。
だから小泉内閣の時期になぜ賃金が上がらなかったのかということは、小泉内閣の賃下げ政策以外では説明がつかないのです。
竹中平蔵氏はどう言い逃れをしても、日本の賃下げに関して責任を負わなければならない立場なのです。
(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2026年7月1日配信号の一部抜粋です。「叔父が急死して相続が大変だった件3」「税金トリビア『初夜税と結婚税』」を含む全文はご登録の上ご覧ください。初月無料です)
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image by: World Economic Forum from Cologny, Switzerland, CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で









