高市早苗「時間稼ぎのための時間稼ぎ」という悪手。円安で苦しむ国民を放置する与党は何を待っているのか?

 

政局の中で大きな失望感を覚えざるを得ない維新の動き

しかし、全体的な政局の中で特に失望感を感じるのが、維新の動きです。良くも悪くも納税者の反乱、つまりは強めの小さな政府論ということで動いてきたのですが、この間は万博、IR、副首都と、カネを使う話がメインとなっています。

民間活力の拡大として計画していた、製薬治験特区などの構想は雲散霧消しており、ある意味では利権政党になった、だからこそ大阪でも自民党との共存が曲がりなりにも出来たのです。勿論、この先、改めて都構想の話に進む場合は自民や左派と鋭角的に対立するわけです。

とにかく副首都構想というのは、税金を使う話であり、東京維新が持っていた小さな政府論には逆行します。万博を「やってしまった」という負の十字架は「大損はしなかった」ことで免罪されるにしても、理念としての小さな政府というのは曖昧になってしまいました。

また、IRというのは何だかんだ言ってもインバウンド商売であり、いわゆる「外国人問題」的な保守感情とはまた「別」になっています。そうした意味で、とにかく印象が薄くなりつつある中で、参院選などへの対策として「こうなったら入閣」という話になったのでしょう。

維新が賞味期限との時間の勝負的になってきたことと、高市政権の先延ばしという2つの時間軸がシンクロして、現在のような状況になってきたと言えると思います。

それはともかく、このまま放置をしてゆくと、円とドルの二重経済は解消されない中で、円安要因は大きく、円高要因は限られています。そんな中で、次のターニングポイントは何かというと、

「円安と割安感から続いてきた不動産と株への外国資金の流入が、損切りという形で出口を迎える」

という危険です。仮にそうした流れとなるようだと、そこで円安が更に加速し、金利が跳ね上がることになります。

不動産に関しては、実需が届かない水準まで高騰した中では、前回のバブル崩壊の際と同じように「以降は下げるしかない」というトレンドになる危険は十分にあります。

本当の解決策としては、円経済の生産性を上げてドル経済に追いつく、あるいは国内経済をグローバル経済に適応させて二重経済を解消に近づけるという「改革」です。

二重経済は解消する必要は実はなく、国内の方が安くて価格競争力があれば、大きなチャンスも出てくるかもしれません。そうしたチャンスを活かすためには、この大卒50%の硬い教育水準を誇る労働力を、論理、計数、DX、AI、英語への親和性を高めていかねばなりません。

つまり、保守という看板のために、こうした改革、特に教育改革や地方の改革を思い切りサボってきたのが自民党です。そして、改革どころか守旧派として、国の足を引っ張ってきたのが左派という構造です。

その点に関しては、高市政権はトランプのアメリカへの投資というコストを必要と断定して引き受け、同時にGDPに対する国内投資を始めました。ですが、支持基盤が保守なので教育改革はできず、地方の改革はもっとできないのです。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 高市早苗「時間稼ぎのための時間稼ぎ」という悪手。円安で苦しむ国民を放置する与党は何を待っているのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け