国単位での戦争から友人同士の喧嘩まで、規模や理由は違えどもそれを引き起こす原因となっているのが、人間の「狂暴性」です。無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』では、スペインの進化生物学チームが発表した「この狂暴性はどこから来るのか、そしてそれは環境に左右されることはないのか」という疑問についての研究結果が紹介されています。
ヒトは生まれつき狂暴で、環境で更に増悪
世界の歴史を見ると、狂暴な君主が登場し国民を苦しめているのですが、嫌なことにどうやらヒトという生物自体が狂暴性を有しているのだそうです。
これはスペインの進化生物学チームの研究で明らかになったもので、英国科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文です。
- 論文タイトル:Nature or nurture: is violence in our genes?
- 著者:José María Gómez 他
- 科学誌名:Nature 538, 233 (13 October 2016) doi:10.1038/nature19758 September 28, 2016
研究では、現存するほ乳類1,024種の死に関する400万件以上のデータと、約5万~10万年前の旧石器時代から今日までの人類600人以上のデータを収集し、死をもたらした原因を比較しました。
その結果、同じ生物種間での死をもたらす争いは、ほ乳類全体では約0.3%であり、霊長類やげっ歯類に共通の祖先では約1.1%であったのに対し、その後の人類の祖先が登場する20万~16万年前頃には約2%と高くなっていることが分かりました。
これらの結果から研究チームは、人の暴力性は少なくともその一部は祖先から受け継がれたものであり、霊長類に共通するものと結論付けています。
また、これらは遺伝のみならず、生存のための環境的圧力の影響を受けている可能性も高いということです。
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