ここまで来た定額制。全国「住み放題」はコロナ後の新常識か?

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今やすっかり私たちの生活に根付いた定額制というシステムですが、リモートワークの導入加速で居住地の選択肢が広がる中、「定額全国住み放題サービス」なるものが話題になっています。値ごろ感のある料金で利用できるこのサービス、どのような視点から誕生したのでしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』ではMBAホルダーの青山烈士さんが、その戦略と戦術を分析・解説するとともに、優れた着眼点を高く評価しています。

未来から逆算

今号は、定額住み放題サービスで人気の企業を分析します。

株式会社アドレス 定額制の全国住み放題・多拠点コリビング(co-living)サービスを提供しています

多拠点生活をしたい方をターゲットに「パートナーやスペシャリスト」に支えられた「安い・気軽に移住できる」「充実した生活を送ることができる」等の強みで差別化しています。

新しいライフスタイルを手軽に試すことができること、いまのままの生活では味わえない体験ができることが、利用検討者の背中を後押ししています。

■分析のポイント

「ニューノーマル」という言葉を耳にすることが増えました。「新たな常態」「新たな常識」といった意味ですが、いまのこのコロナ禍の世の中が平常の状態になるといった意味で使われていますね。

新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえた「新しい生活様式」が推奨されているように、日常生活や働き方も新しいスタイルへの転換が求められています。例えば、大手菓子メーカーのカルビーはテレワークを原則として、単身赴任をやめて家族と同居できるようにするなど、新たな働き方を導入することを決めましたが、このような働き方もひとつの常識になっていくかもしれません。

そのような状況の中で「新たな常識」のひとつになりそうなのが「アドレス(ADDress)」が提供している「いつもの場所がいくつもある、という生き方」です。

いままでは住む家は1つの言うのが常識で、別荘を持っている方もいますが、限られた人が持つものというイメージでした。「アドレス(ADDress)」の定額全国住み放題サービスはそれらの常識を壊して住む家がたくさんあるという新しいライフスタイルを創出していると言えます。

いままでは、会社に通える範囲内の家に住むということが当たり前でした。しかし、リモートワークの普及にともない、そういった住む家のエリアに関する制限が無くなったという方も増えていますので、県をまたぐ移動の制限がない限りは、サービスが普及する土台は整ってきていると言えます。

「新たな常識」を作ろうとしている「アドレス(ADDress)」からすると、リモートワークの普及はある程度、予想できていたものです。コロナの影響で早まったと思いますが…。そして、地方の空き家が増えていくということもかなりの確率で予想できていたことです。今回のポイントですが、そういった将来起こるであろうこと(予想)から逆算して、サービスの設計をしているわけです。

将来のことはわからないと言ってもある程度わかっていることもあります。例えば、日本で言えば、人口が減少していくこと、働き手が減っていくことなどは、ほぼ間違いなく待っている未来です。

アドレス(ADDress)は空き家が増えていくことを問題視している一方で、機会ともとらえているように見えます。空き家が増えていき、人口が減っていくということは人口に対して家が余剰な状態になります。ですから、この状態を機会ととらえれば一つの家に住まうという生き方ではなく、住む家がたくさんある生き方(ライフスタイル)を提案できるのです。

いままでの延長ではなく、未来から逆算して、いまできること、いまやるべきことを考えることの重要性を考えさせられる事例でした。

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