医師の診断書に基づき保険が適用される訪問マッサージは、不正請求や医療費抑制の問題があって、徐々に医師の同意を得るのが難しくなっているようです。訪問マッサージの営業代行を営む読者から、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江一石さんに、需要は感じるものの、制約により伸び悩む事業について相談が寄せられました。永江さんも需要があることには同意した上で、「保険適用を望む高齢者」とは違う層をターゲットとすることを提案しています。
訪問マッサージ事業を伸ばすためのポイント
Question
体が不自由な高齢者向けの健康保険を適用した訪問マッサージについて質問です。当方、訪問マッサージの営業代行を行っております。高齢化により、指圧師による健康保険適用の訪問マッサージの需要はありますが、医師の同意書を取得するのが難しくなってきており、供給ができないことが多くあります。
それは不正請求が増えてきていることや、医療費を抑制させるためであると考えます。ただ最近は、受領委任制度がはじまったことにより、制度が適正化されてきているように思いますが。
今後さらに高齢化による在宅サービスの需要は高まると思いますが、様々な規制がある中、訪問マッサージ事業を伸ばしていくためにはどのような対策が必要であるかお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
当方の考えとして、これからは健康保険を適用せずにできるサービスとして、指圧師による整体スクールを立ち上げ、資格は取れませんが、高齢者宅を対象に訪問整体をする施術者を増やしていきたいと考えております。
永江さんからの回答
訪問マッサージは今の時代にマッチしていますし、マーケットはあると思います。ただ質問者さんがターゲットとしてお考えの「体が不自由な高齢者」より、もう少し年齢層が若い方がニーズがあるのではないでしょうか。
わたしの父もよく家にマッサージ師さんを呼んで施術してもらっていましたが、自宅にマッサージ師さんを呼ぶといえば、例えば「60代の社長さんの休日の楽しみ」や「リタイヤした大企業の元部長さんがゴルフに行った翌日腰痛のため依頼したい」など、比較的裕福なお年寄りの方が多い気がします。
特にいまコロナで世帯収入がガクンと減った家庭も多いですし、保険外で1時間訪問マッサージを頼むと1万円くらいはしますから、何度もリピートするなんて高所得者層でないと難しいでしょう。
また現在どこで営業されているか分かりませんが、場所選びも重要です。関西なら神戸近辺、東京なら田園都市線沿線や港区、渋谷区など高級住宅地で展開すれば可能性があると思います。
今後の展開として一つご提案すると、在宅ワークのIT系ビジネスマン向けメニューの拡充はあると思います。例えば「在宅勤務で肩コリにお悩みの方へ、お昼休みの1時間で体をほぐしませんか?」などと謳えば、なかなか整体に行く時間がないという人などニーズはあると思います。
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