命を預ける現場で繰り返し起こる、医療事故というあってはならない事態。その背景には、日本の医療システムそのものが抱える「構造的問題」が横たわっているようです。今回のメルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』では著者の吉田さんが、ウェブ漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルとされる医師の事例を取り上げ、医療事故が繰り返された背景を検証。さらに患者側が自らを守るために持つべき視点について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本の医療の闇を問う~システムの病理~
日本の医療の闇を問う~システムの病理~
2026年5月6日のYahoo!ニュースの記事がこちら。
● 【法廷ルポ】「ネット漫画「脳外科医 竹田くん」モデル兵庫・赤穂市民病院の脳神経外科医裁判」脊髄の神経をドリルで切断し重度障害 事故の背景に横たわる“医療現場の現実”とは…
日本の医療現場では、毎年数千件の医療事故が報告されている。
その数字の裏側に何があるのか。患者は白衣の専門家に命を預けるが、手術室という密室で何が起きているのか。
今回取り上げるのは、ウェブ漫画『脳外科医 竹田くん』で描かれた実在の医師をめぐる事例である。これは単なる個人の失敗ではなく、医療システム全体の構造的問題を浮き彫りにする。
竹田医師の経歴と医療事故の概要とは?
竹田医師は県立赤市民病院などで勤務した脳外科医である。短期間に11件の医療事故を起こし、患者を死亡させるなど深刻な結果を招いたとされる。
漫画の作者は被害者家族で、訴訟では亡くなった人が戻らないため、「このような医師がいることを一般に知らしめ、さらなる被害を防ぎたい」という意図で公開された。
実際の医療ミスは漫画に描かれた11件を超える可能性が高い。関係者によると、成功率は2割程度、失敗率8割に達するとの証言もある。
一見信じられない事例が浮き彫りになった。具体的には…
- 脳腫瘍摘出手術で、95~98%除去すべきところを20%しか取らず、残存腫瘍を残す。
- 別の手術では逆に過剰切除(105%相当)を行い、重要な部位を損傷。
- 脳動脈瘤治療(クリッピングやコイル塞栓術)でも失敗が繰り返された。
これらの手術は上級医が同席するチーム医療であったが、竹田医師の行動により修正手術が必要になるケースもあったという。カルテ記載が不十分で、証拠が残りにくかった点も問題視されている。
なぜ止められなかったのか⇒病院・組織の論理
病院側が事故を隠蔽しやすい構造が背景にあるようだ。
大きな病院は「表沙汰にしたくない」というプライドと、行政・学会への影響を考慮する。医者不足も要因の一つで、人材を簡単に切り捨てられない現実がある。
先輩医師が「指導するからオペに入れてやってくれ」とフォローした結果、問題が長期化するケースも指摘された。
また、医師免許の更新・管理が緩やかである点が大きい。
車の免許のように定期的な適性検査や講習がなく、重大事案でも免許剥奪は極めて稀である。厚生労働省の審議会で年間20件程度が議論されるが、取り消しに至るのは本当に悪質な数件に限られるという。
竹田医師の場合も、刑事裁判で有罪(懲役1年執行猶予3年)となったが、免許停止期間が短く、将来的に臨床復帰の可能性が残るというのだから空恐ろしい。
この事例では、患者の神経をドリルで損傷した手術室のカメラ映像が重要な証拠となった。
しかし、すべての手術室にカメラ設置が義務化されているわけではなく、病院側の抵抗も強い。このあたりは患者自身が声を大にして訴え続けなければならない問題なのだろう。
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