天皇陛下は11日、オランダ、ベルギーへの公式訪問を前に皇居・宮殿で記者会見に臨み、10日に衆参両院の正副議長のもとで取りまとめられた皇族数の確保策の議論に触れ「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と述べました。こうした皇室制度を巡る議論が大きな注目を集めている中、旧宮家出身の竹田恒泰氏が、自身のYouTube配信で皇位継承問題について持論を展開しています。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、漫画家・小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、竹田氏の主張を検証しながら、皇位継承をめぐる論点について考えています。
なんにも知らないネトウヨさん~竹田恒泰の男系カルト怪談
国会では、〈1〉女性皇族が結婚後も皇室に残る案と〈2〉旧宮家の男系男子を養子に迎える案について、法制化に向けて取りまとめられようとしている。
どうやら「養子となった男子は皇位継承権を持たないが、男の子が生まれればその子は皇位継承権を持つ」というもので、愛子天皇を阻止し、一般国民だった男を皇族と入れ替えてゆき、やがて天皇にするという内容であることが明らかになった。
選挙で吹いた一過性の政局の風を利用して、権力基盤の維持のために皇位継承の在り方も立憲主義も歪め、一般国民男子による皇位簒奪まで視野に入れた非道さに怒りがわく。
そんな中、「現在未婚の男系男子がいる」とされている旧4宮家(竹田、賀陽、久邇、東久邇)を復興させようと狂乱のペテン活動に邁進している竹田恒泰が、YouTubeで生放送を行っていたので視聴した。
「当事者」とも言える竹田は、一体何を語るつもりなのか?
すると案の定というべきか、「愛子天皇論の背後には習近平の情報工作がある」「女系継承は世襲ではない」「フランス王家は側室なしで1000年続いた」「旧宮家養子案は憲法上まったく問題ない」など、聞いているこちらの三半規管が破壊されそうな珍説が次々と飛び出し、『ネトウヨ音頭』の前奏が脳内に鳴り響きはじめた。
「愛子天皇論は習近平の工作」だってよ
連日、新聞各紙が「憲法違反の養子案」「女性天皇の議論が排除されている」「国民の声が無視されている」など問題点を指摘しているが、竹田は特に読売新聞の報道が気に食わないらしい。 生放送では紙面に登場する論者たちを罵倒していた。
しかし、その劣化ぶりが以前にも増して凄まじい。 自説に異論を唱える者はすべて敵、すべて陰謀、すべて悪人という世界に完全に居座ったようで、まさに「怪談噺」とも言える弩級のカルト教祖ぶりである。
「男系継承というものが失われたら、誰が一番喜ぶかって言ったら、近平(習近平)でしょうね。 とにかく中国は日本の天皇というものを何とかして潰したい」
「女系天皇になれば、あっという間に弱体化するから。 日本を弱体化するのに一番いいのはここだというふうに中国は必ず思っている」
「愛子天皇論というものを打ち上げてる人はたくさんいますけども、これ、中国側が水面下で日本に情報戦として仕掛けていることなんですね」
「愛子天皇論を打っているたくさんのチャンネルが YouTube にあるんですけども、その多くが外国からのアップロードなんですね」
え? 大丈夫?
『愛子天皇論』の著者 小林よしのりは、中国の工作員なの?
『愛子さまトーク』のMC まー大隊長は、習近平の指令を受けてるの?
ゴー宣道場のメーリングリストには、愛子天皇誕生のために YouTube や X で活動をしている人々が集まっているが、北海道から沖縄まで、日本国内津々浦々に普通に真面目に暮らしている日本人ばかりなのだが……。
竹田は、ネット上に存在する「愛子天皇」関連の動画発信元を情報開示請求して調べたと言い張り、「外国からなんですよね」言って、自分のもとに集結したネトウヨたちに「弄ばれてんですよ、中国に」と語りかけていた。
あ、あのー・・・
中国共産党による天皇制破壊工作なら、天皇制そのものを攻撃すればいいのに、なんでやってることが「愛子天皇推進動画をせっせと作る」なの~?
習近平も、党内の権力闘争、台湾問題、米中対立、不動産危機、超少子高齢化など問題山積みのようだが、「なんとか愛子天皇を実現させねば……」と考えていたなんて!
竹田の描く習近平像が謎すぎる。
靖国、台湾、尖閣、歴史認識と中国共産党の見解はいろいろあるし、隙あらば天皇との会談を政治利用しようと目論んでいるところもあるだろう。
だが習近平にしても、天皇に対しては、外交儀礼上の敬意を払い、礼を尽くす感覚を見せている。
令和元年の今上陛下の即位と、上皇陛下の退位に際しては、お二人に祝電を送り、祝福の言葉とともに両国の協力関係を望むメッセージを出していた(習近平氏が即位に祝電、上皇さまにも祝福 2019.5.1)。
一方、昨年の高市早苗の首相就任に際しては、歴代首相に対して必ず就任当日に出していた祝電を、わざと無視している(習近平氏、高市早苗首相の就任日に異例の祝電見送り 2025.10.24)。
竹田恒泰より習近平のほうが、よっぽど「天皇」と「時の首相」の差がよくわかっているのかもしれない。
愛子様のお子様に皇位継承資格がないのは「女性蔑視も甚だしい」だってよ
竹田は、旧宮家の養子案について、年齢制限せずに広く受け入れるべきだと主張。 一方で、女性皇族が結婚後も皇族に残る案については「めちゃくちゃ大きなリスクがある」と述べていた。
ほう、竹田にも「結婚しても夫と子供は一般国民のままなんて、どうやって生活するのか?」「そんな異様な家庭を勝手に作り出していいのか?」という感覚があるのかと思いきや、まったく違った。
竹田曰く、愛子様が結婚してお子様が生まれれば、その子に皇位継承資格がないことが白日の下にさらされ、「いや、それおかしくないか?って話に、必ずなる」というのだ。
「悠仁親王殿下の息子には皇位継承資格があるけれども、愛子内親王殿下の息子には皇位継承資格がないって話になるわけですね。 同じ皇族の息子同士なのに、片方は資格がある、片方は資格がない。 『女を舐めてんのか』『女性蔑視も甚だしい』みたいに絶対になるんですよ」
「それを考えると、女性皇族が結婚後皇室に残るっていうのは、なし崩し的にその子供に皇位継承資格が与えられることになってしまう」
男系固執の皇位継承は、現代日本人の普通の価値観と衝突し、もはや国民を説得できないということを、竹田本人がよくわかっているのである。
自民党議員も同じ感覚だろう。 だから「静謐な環境で」と言う。
さらに竹田は、皇族方は生まれたときから国民に成長を見守られていて愛着がわくものだという話をしたうえで、「そしたら、なんでこの人、皇族の子供なのに皇位継承資格ないの? っていうことに100%なるわけですよ」と力説していた。
今、愛子天皇を望むほとんどの国民が、すでにそう思っているのだが。
つまり、竹田は、国民が愛子さまを支持していることが怖いのだ。
「かつて宮家だった家に生まれた男」という“血の看板”よりも、国民が愛子さまを敬い、支持しているという現実のほうが圧倒的に大きく、恐ろしいのである。 習近平の存在よりも、ずっと。
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