【3分間書評】2015年ビジネス書第3位「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」

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今回の「3分間書評」で取り上げるのは、身近な人が亡くなった際に行うべき、あれやこれやの手続・届出をまとめた本。いたって実用的で、一家にひとつ買っておいて損はないと、土井さんも絶賛の一冊です。

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『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』児島明日美、福田真弓、酒井明日子・著 自由国民社

こんにちは、土井英司です。

ベストセラーは世相を反映するものですが、高齢化社会に伴い、相続本や整理本が売れています。

本日ご紹介するのは、そんななかでも実用性抜群の一冊。タイトルもズバリ、『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』です。

本書では、身近な人が亡くなった後の手続・届出を、以下の3種類に分け、まとめています。

1.直後に行うこと
2.落ち着いたら行うこと
3.必要に応じて行うこと

ちなみに、直後に行うことは、以下の通り。

・死亡診断書・死体検案書の手配(すみやかに)
・死亡届の提出(7日以内)
・火葬許可申請書の提出(7日以内)
・葬儀・納骨の手配(すみやかに)
・世帯主の変更(14日以内)
・健康保険の資格喪失の手続(国民健康保険:14日以内、健康保険:5日以内)

これだけでもたくさんありますが、実際にはもっとやることがあり、本書にはそのすべてがチェックリストとしてまとめられています

故人の所得税の申告や事業を引き継ぐ手続、故人が受けていたサービスの解約、運転免許証、パスポート、クレジットカードの返却・解約、配偶者が婚姻前の名字に戻したい時の手続など、読んでいるだけでめまいがしてきます。

さらに、遺族年金等の手続、遺産相続手続など、書類の書き方まで示されており、かゆいところに手が届く内容です。

必要書類のフォーマット、相続税額の早見表などもついているので、面倒な手続が嫌いな方でも、これなら理解できると思います。

遺族年金、相続の部分から気になったポイントを挙げておきましょう。

◆遺族が受給できる年金
・遺族基礎年金(国民年金:自営業等)
・遺族厚生年金(厚生年金:会社員等)

支払要件や遺族要件に該当した場合でも、年金は5年、一時金は2年の時効があり、請求期間を過ぎると受け取れなくなります

ねんきんダイヤル(一般的な年金相談に関するお問い合わせ先)電話番号0570-05-1165(ナビダイヤル)

年金受給者が亡くなった場合は、年金受給を停止する手続(年金受給権者死亡届の提出)が必要です。手続が遅れてしまったために年金が支払われてしまった場合は、その分を返還しなければなりません

遺族年金(一時金を含む)をもらえる遺族の範囲は亡くなった方に生計を維持されていたことが前提(中略)「生計を維持されていた」とは、死亡当時、亡くなった方と生計を同一にしていた方で、年収850万円を将来にわたって得られない方のことをいいます。ただし、死亡当時に年収が850万円以上であっても、おおむね5年以内に年収が850万円未満になると認められる方は遺族年金の対象者になります

相続関係を証明するためには、亡くなった方の一生でつくられた全ての戸籍をさかのぼって順番に取得する必要があります。(中略)亡くなった方の戸籍をさかのぼって取得していき、他に相続人がいないことを特定します。兄弟姉妹が相続人となる場合は、両親の戸籍もさかのぼって取得し、他に兄弟姉妹がいないこと(両親に他に子がいないこと)を証明する必要があります

相続放棄をしようとする者は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にその旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対して行います

自動車についても相続の手続が必要です。売却したり廃車にする場合でも、基本的にはいったん亡くなった方から相続人が自動車を引き継ぐことになります。相続人への名義変更は、ナンバープレートを交付している管轄の陸運局(運輸支局か自動車検査登録事務所)に移転登録申請書を提出する方法により行います

本当に込み入った内容は、専門家のアドバイスを受けるよう書かれていますが、土地の評価額の計算方法から、非上場株式の評価額の確認方法まで、じつに細かく書かれており、これで1400円は安い

一家に一冊、買っておいて損はないと思います。

『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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