誰の墓なのか不明な古墳を「天皇陵」に指定する、宮内庁の石頭ぶり

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河野太郎行政改革担当大臣が、宮内庁により「仁徳天皇陵」と指定される大仙陵古墳を視察し、「天皇陵の指定を再考すべき」と発言したことがニュースになりました。太田茶臼山古墳を代表に、歴史家や専門家が「天皇陵ではない」と断定しているにも関わらず、宮内庁はなかなかそれを改めようとしないことは有名です。無料メルマガ『古代史探求レポート』では、宮内庁の姿勢を「死者への冒涜」と苦言を呈し、古代日本人にとって古墳とは何だったのかを説明し、正しい認識をもつことの重要性を説いています。

正確な調査もせず「天皇陵」を指定する、宮内庁の奇妙なご対応

学説と異なる天皇陵「指定再考を」(毎日新聞 7月1日)

河野太郎行政改革担当相は30日、堺市堺区の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)を視察した。その際、継体天皇陵を例に、「天皇陵と言われているものに間違いがあってはいけない」と述べ、歴史学や考古学の定説と異なる陵墓については、指定を改める必要があるとの考えを示した。
河野氏は観光資源として価値のある国の施設の開放を進めており、視察はその一環。宮内庁は太田茶臼山古墳(大阪府茨木市)を継体天皇陵と指定しているが、学説上、継体天皇陵として有力なのは、大阪府高槻市の今城塚古墳とされる。
河野氏は視察後の取材に「天皇陛下が参拝される場所が間違っているというのは、大変失礼なことになる」と述べ、「専門家から見て時代が合わないところは、宮内庁も謙虚に耳を傾けていかなければならない」と指摘。同行した宮内庁陵墓課の担当官は「現在の陵墓の治定(指定)をしっかり守るのが基本。100%の証拠があれば変更するが、学説や時代によって陵墓の治定が変わるのは望ましくない」と反論した。

古墳の治定(じじょう)の問題が久し振りに取り上げられました。古墳の埋葬者の問題は、いつも多くの議論を呼び、実際、8割方の古墳の治定が間違っているとも言われています。以前にも、このテーマで古代史探求レポートをお届けしたことがあったと思います。

今回の口火は河野太郎行政改革担当大臣でした。この人のお父さんは、本当によくできた人でした。私の世代の人にとっては、新自由クラブの党首であって、衆議院議長を務めた河野洋平氏でした。その人の子供ですから期待感は大きくなるのですが、いつもちょっとピントが外れているように思います。

天皇陵の治定の問題は、行政改革とは関係ないと思いますが、よりによって仁徳天皇陵を視察する理由がわかりません。加えて「天皇陛下が参拝される場所が間違っている」から問題なのではなくて、埋葬者と違う人の墓を別の人の墓としていることが問題なのです。私は、死者への冒涜(ぼうとく)だと思っています。許されるべきことではないですよね。それが自分の親族の墓だと考えたら、絶対に許せないことです。しかし、それが平然と行われているのが現実なのです。

そもそも、治定(じじょう)とは、決定するとか意見が収斂(しゅうれん)されてその内容で落ち着く事を言う言葉です。宮内庁陵墓課による「学説や時代によって陵墓の治定が変わるのは望ましくない」という日本語の使い方もおかしいです。意見が割れているということは、治定していないということなのですから、候補として言うならともかく、XXXX陵と言ってしまうのはおかしいのです。
最近は、その呼称も変えることになったようで、頭に「伝」をつけて呼ぶのが正しいようです。伝)仁徳天皇陵です。これはある意味最もなことで、例え、本当は仁徳天皇の墓ではなかったとしても、そのように長い間伝わってきたのは事実ですからそれで良いのではないかと思います。

大切なのは陵墓を決める前に、事実を整理することが大切であって、日本書紀、古事記に書かれていることのみを頼りに、その場所にある墓を決めていくのではなく、キチンとした調査を行い、いつ頃作られた墓なのかを明確にし、埋葬者を特定し、尊敬と安寧の気持ちを込めて祈りを捧げることが大切なのだと思います。「墓を暴くのは、死者の冒涜だ」と反論した人がいましたが、「墓を暴く」のではなく「調べる」のです。

他人を、それも天皇陵に指定される程、大きな陵墓であるわけですから、その時代に政権を争ったライバルであったかもしれませんし、敵であった可能性も大きいわけです。そういう埋葬者に向かって、古代の日本の一時期を治めた天皇として手をあわせるというのは、本当に失礼な話だと思います。まずは、その天皇が実在したのかどうかということを、もう少し精査するべきなのです。いつまでも、藤原不比等の架空小説を、これこそ日本の歴史であると言い続けていることこそやめるべきなのではないかと思います。

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