高齢者をカモにする、居住マンション「リースバック詐欺」の手口

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以前掲載の記事でも詳しくお伝えした、マンションを売却した後もその部屋に住みながら買い主に家賃を払う「リースバックス方式」ですが、最近この手法を悪用し、高齢者をカモにする業者が増えているそうです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、著者でマンション管理士の廣田信子さんが直接耳にしたという「詐欺まがいの手口」を紹介するとともに、そんな悪徳商法の被害に遭わないために消費者サイドが注意すべきことについて記しています。

修繕積立金大幅値上げの不安を利用する「リースバックビジネス」

こんにちは! 廣田信子です。

あるマンションで、「リースバック」について、ちょっとした事件があったとお話を伺いました。「リースバック」については過去記事で紹介しています。

自宅を売却して家賃を払う「リースバック方式」のメリットって?

「リースバック」とは、マンションを売却しその住戸をそのまま使用しながら買い主に家賃を支払う方式です。高齢者の方が、住み慣れた自宅にそのまま住み続けたいけれど、介護費用や医療費がかさみ、負担し切れない…、認知症と診断された一人暮らしの方が、できるだけ自宅で生活したいけど、今のうちに不動産は売却して現金に換え、子供たちが介護費用に困らないようにしたい…、そんなときに活用が考えられます。でも、これがビジネスとなると、本来の趣旨から外れ、高齢者がカモにされる可能性もあると知りました。

最近は、新聞、雑誌、テレビ、どのメディア媒体でも高経年マンションの維持管理が危ない、大幅な修繕積立金の増額が必要…と、高経年マンションにお住いの高齢者の方の不安を煽るようなニュースに満ちています。

そんなニュースを見て、ある高齢女性は、今はまだ自分も仕事をしているからいいけど、仕事ができなくなって年金生活になっているのに、高額な修繕積立金を払わなければならなくなったらどうしよう、という不安を感じました。

そんなとき、自宅を売却して代金を受け取り、その後、そのまま家賃を払えばいいという「リースバック」の広告が目に入りました。ちょっと興味を持って連絡を入れたら、その後、営業が熱心にやってきます。

将来の修繕積立金値上げの不安と住み続けながら、まとった現金を手にできる安心を強調されると心が動き、仮契約をしました。売買に当たるので重要事項説明に必要な情報を管理組合に求めることになり、理事長の知るところとなりました。

たまたま、理事長がよく知る方だったので、どうしてかな…と不信に思い、よく話を聞くと、当面、まとまったお金が必要な訳じゃないし、まだ、相続のことも考えていないけど、将来、修繕積立金が大幅値上げになるというニュースを見て、将来、年金暮らしになったときに、修繕積立金を払えなくなって出ていくことになるかもしれない…と不安になり、契約を結ぶことにしたと分かりました。

理事長はびっくり! そのマンションはしっかり維持管理されていて、当面修繕積立金の値上げの必要はなく、そのことは、総会でもしっかり説明していたからです。

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