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ツイッター社「黒字転換」の要因を徹底分析。背景に日本市場が貢献か?=シバタナオキ

各種ニュースで「ついにTwitterが営業利益ベースで黒字転換」という報道がされました。今回は、一体どういった理由で黒字に転換したのかを詳しく見ていきます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年3月13日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

このまま安定成長は続くのか。決算発表からわかる日本の貢献度

売上はYoY+2%に留まる

今回の記事では、久しぶりにTwitterを取り上げたいと思います。

各種ニュースでも、遂にTwitterが営業利益ベースで黒字に転換したという報道がいくつかありました。本稿では、一体どういった理由で黒字に転換したのか、というのを詳しく見ていきたいと思います。

2017年10月~12月期の決算発表資料から、まずは売上を見ていきます。

四半期当たりの売上は$732M(約732億円)で、YoY+2%となっています。これだけを見ると成長が止まってしまっているようにも見えますし、広告売上はYoY+1%と、ほぼフラットな状況でもあります。

ついに…ようやく黒字化!

一方で、GAAPベースでの営業利益を見ると、ついに四半期当たりの営業利益が$91M(約91億円)と、黒字に転換しました。営業利益率は12%と、決して悪くない水準です。

では、一体どういった理由で黒字に転換したのでしょうか

EBITDA利益率は42%

Twitterは、このグラフを見るとわかる通り、EBITDAベースではしばらく前から黒字になっており、EBITDA利益率は42%と非常に高い水準になっています。

これまでEBITDAベースではずっと黒字であったにも関わらず、営業利益ベースでは赤字であった理由を、簡単に説明したいと思います。

この表は営業利益とEBITDAの差分を説明する表です。

これを見れば分かる通り、営業利益を計算する際に株式報酬 $102M(約102億円)と減価償却$92M(約92億円)を差し引く必要があるため、EBITDAベースでは黒字であったにも関わらず営業赤字になっていた、というのが現状です。

では、Twitterは黒字転換して、今後も安定的に成長できるのでしょうか

その辺りをもう少し詳しく見てみましょう。悪いニュースと良いニュースとにわけて書いてみます。

Next: このまま安定成長できる? 決算からわかる悪いニュースと良いニュース



悪いニュース:アメリカで大苦戦中

始めに悪いニュースの方から書きます。

月間のアクティブユーザー数を見ると、グローバルでYoY+4%しか増えていません。さらに厳しいのは、アメリカではYoY+2%と、ほぼフラットな成長しかしていないことになります。

さらに広告売上を見ると、グローバルでYoY+1%、アメリカではYoY-10%と、減少傾向にあるということが分かります。

良いニュースその1:日本のおかげ(!?)で黒字化

良いニュースも見ていきましょう。

上のグラフで見たように、アメリカでの広告売上は減少傾向にありますが、アメリカ以外の広告売り上げはYoY+10%と二桁成長しています。

決算資料の中でも特に成長を牽引しているのは、日本市場であると書いてあります。

日本からの売上はYoY+34%の$106M(約106億円)で、全社売上の15%という記載があります。

これを見る限り、日本はTwitterの中で最も売上成長が早い国の1つであり、アメリカを除くとかなり大きなウェートを占める重要な国であることがわかります。

今回、Twitterが黒字化したのは、この日本市場における急成長も1つの要因であることは間違いないでしょう。

Next: 存在感を増す日本市場。良いニュースはまだある?



良いニュースその2:DAUが2桁成長中

今回の決算発表では、もう1つ良いニュースが発表されました。

DAUがYoY2桁成長を続けている、という発表です。

月間のアクティブユーザーは全体で+4%しか増えていないわけですが、日次でのアクティブユーザーは+12%成長しているということになりますので、コアなユーザーが使い続けているということでもあります。

【関連】ツイッターは「オワコン」ではない。ついに黒字転換、今後の成長余地は?=栫井駿介

現時点では、このDAUの2桁成長が売上成長に直結できていないわけですが、もしもコアなユーザーをより上手にマネタイズすることができれば 、Twitterはさらに成長スピードが上がるのかもしれません。

今後も日本市場における存在感も含めて、注目していきたいと思います。

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決算が読めるようになるノート』 2018年3月13日号『Spotifyがフリーミアムモデル界の最強モデルである理由』より抜粋
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