今回は人気スマホ用アプリ「スナップチャット」の決算を取り上げます。決算発表会で「今後は大きく成長するかも?」と思わせる内容があったので考察します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2017年11月23日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
Facebookに続くか。急成長を予感させるスナップチャットの決算
新しい「広告システム」に注目
過去にも何度かスナップチャットを取り上げたことがありますが、今回はスナップチャットの新しい広告システムについて考察していきたいと思います。
はじめに、スナップチャットの2017年7月から9月期の決算を簡単に見ていきたいと思います。
売上・EBITDA・ARPU
売上と営業利益です。
四半期当たりの売上は$208M(約208億円)でした。
EBITDA(税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加算した金額)は、マイナス$179M(約▲179億円)で、フリーキャッシュフローはマイナスの$220M(約▲220億円)ですので、未だに売上とほぼ同じ額の赤字を出し続けていることになります。
ARPU(ユーザー1人当たり売上)を見てみると、$1.17(約117円)となっており、そこまで大きく伸びていないというのが現状です。
ちなみにこのARPUですが、上場してからの推移をFacebookの場合と比べてみると以下のようになります。
これを見る限りFacebookを越えてはいませんが、そこまで悪い推移であるとは言えないのではないでしょうか。
DAUあたりのサーバーコスト
一方でFacebookと大きく異なるのが、ユーザーあたりのサーバーコストです。
スナップチャットの場合、取り扱っているメディアが動画のみなので、サーバーコストが大きくかかります。今回の四半期においてはDAU(1日の平均利用者)あたりのサーバーコストが0.68ドルと、広告売上の約半分がサーバーコストに消えてしまっている計算になります。
以上、決算の概要だけを見てみるとあまり良い材料がない決算だったとも言えるでしょう。
ちなみに、今回の決算の発表直後に、スナップチャットの株価は上記グラフのように大きく下落しました。
ユーザー数の伸びが鈍化してきており、ユーザー1人当たりの売上も大きく伸びていない、そしてアクティブユーザー1人当たりのサーバーコストが広告売上に対して非常に大きいというあまり良いニュースがなかったのも確かです。
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