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時価総額1,000億円突破の「じげん」は3つの武器で東証一部への変更を狙う=シバタナオキ

今回は、ついに時価総額が1,000億円を超えて東証一部への市場変更を目指すと発表した、「じげん」の決算を詳しく見ていきたいと思います。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年4月5日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

強豪ひしめく「メディア事業」で右肩上がりに成長。その戦略とは

売上と営業利益

はじめに、2017年10月~12月期の四半期の決算を詳しく見てみたいと思います。

売上は24.8億円でYoY+42.4%、営業利益は8.1億円でYoY+35%で成長しています。

事業ドメインとしては、人材・不動産・生活というリクルートが得意とするような3つのセグメントでメディアを運営しています。全てのセグメントで前年同期比で増収増益となっており、成長率も非常に高く、時価総額が上がり続けているのもよく理解できる決算の内容になっています。

時価総額

じげん<3679> 週足(SBI証券提供)

時価総額の推移を見てみると、東証マザーズに上場した直後からは下落傾向にありましたが、2016年から持ち直してきて、ついに1,000億円の大台に乗りました。

時系列で売上の推移を見てみると、この右肩上がりで急成長してきているのが一目瞭然で、おそらくマザーズ上場直後にはビジネスモデルに懐疑的だった投資家も、この実績を見て安心して投資ができるようになり、それが時価総額の上昇に繋がっているのでないでしょうか。

Next: 東証一部への市場変更を目指すと発表。魅力的なビジネスモデルをおさらい



東証一部への市場変更を目指すと発表

そして好調な株価の推移もあってか、2018年3月22日に東証一部への市場変更を目指すという発表をしました。

その中でも大きな発表としては、「社長の持ち分を66.5%から49.9%へ減らして留保金課税を解消」という記載があります。

東証一部に上場するに際しては流通株式比率が35%以上である必要がありますが、現時点では社長の持分が66.5%もあるので35%以上の株式が流通するのが不可能になっており、それを可能にするために社長が約16.5%もの大きな割合の株式を放出するという発表です。

これは個人的な推測に過ぎませんが、今回の株式放出はおそらく社長のキャピタルゲイン目的ではなく、会社として中長期で成長していくために一番ベストな方法を取ったというのが正直なところではないでしょうか。

というのは、じげんのように1人の株主の保有比率が50%を超える会社を「特定同族会社」と呼ぶのですが、特定同族会社は留保金課税といって通常の法人税にプラスして余分に税金を払う必要があります。

今回社長が株式を放出することで、この留保金課税を避けることができ、かつ東証一部というより大きな市場に変更をすることができるという二重取りができるという点で、会社にも大きなプラスになると言えるでしょう。

株式放出後でも社長が個人で49.9%と過半数に限りなく近い株式を保有する形になっており、議決権のコントロールを失うリスクを最小化しているという点からも社長の個人的なキャピタルゲイン目的でないことは明らかだと言えるでしょう。

魅力的でわかりやすいビジネスモデル

多くの読者の方には不要かもしれませんが、じげんのビジネスモデルを簡単におさらいしておきましょう。

じげんは人材・不動産・生活領域で複数のメディアを運営している会社ですが、まずは図の左側の企業からデータを収集し、データベースを大きくしていきます。

次にそのデータベースをもとにユーザーに魅力的な情報を提供し、多くのユーザーを獲得します。

そしてその獲得したユーザーを企業に送客することでマネタイズする、というモデルになっています。

多くのユーザーが集まれば集まるほど、左側の企業にとっては魅力的なメディアになります。

Next: 強豪ひしめくメディア事業で順調に成長。じげんの凄いところ「3つ」とは?



じげん、3つの「ここが凄い」

このようにモデルとしては比較的わかりやすい、典型的なメディア企業のビジネスモデルになっていますが、その中でもじげんのここが凄いと個人的に思った3つのポイントを詳しくあげておきたいと思います。

この記事はメディアビジネスを運営されている方、マーケットプレイスをされている方に参考になる内容になっています。

じげんの場合、提供しているサービスのドメインには多くの競合が存在します。人材・不動産・生活のそれぞれの領域でリクルートなど超巨大企業が十分な存在感を持っています。

そんな中でもこのように安定的に成長を続ける秘訣を探ってみたいと思います。

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『決算が読めるようになるノート』 2018年4月5日号『時価総額1,000億円を超え、東証一部への変更を狙う「じげん」の3つのここが凄い』より抜粋
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