バフェットが日本の5大商社株を買ったことが話題になりました。彼のポートフォリオを参考にすると、理想的な株式のポートフォリオが見えてきます。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)
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外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。
バフェットの日本買いは配当狙い?
投資の神様ウォーレン・バフェット氏による資産運用の会社バークシャー・ハサウェイが、日本の5大商社株を購入して話題になりました。三菱商事などの配当利回りは6%近くになっており、不況時でもわずかに出た利益のほとんどを配当に回し、配当性向が異常に高い数値になっていました。
大手企業は株価を維持するために不況時も配当を減らしにくいのです。そのため、配当が安定的に期待できます。バークシャーは円を1%程度の金利で調達をすることができるので、「6% – 1%」の差額の鞘を取れるということです。
配当目当てでの投資だったのではないかということも言われています。彼のこの戦略は個人投資家も真似るべきで、米国債の10年物金利が0.7%前後の現在、相対的に株の配当利回りの方が魅力が高くなっています。もちろん元本は変動しますが、商社株などは比較的安定をしており、景気が回復したら上昇する可能性もあります。
バークシャーのポートフォリオは公開されており、インターネットでも見ることができ、参考になります。ここ最近、航空会社や銀行の株式等を整理して、金の会社を買うなどの見直しを行っており、バフェット氏の売買によって小判鮫も現れるために相場も動きました。
※参考:バークシャー・ハサウェイ ポートフォリオトラッカー – CNBC
個人投資家は完コピするのもアリ
保有株式の中身を見ると、アップルを除いてはハイテク株の保有は少なめで、コカコーラ、クラフトハインツ、アメリカンエクスプレスなどの伝統的な大企業の株式を多く保有しています。
ジム・ロジャーズ氏の投資哲学にも共通しますが、自分が詳しい分野に投資をしていると言えそうです。2人ともどちらかというとハイテクはそれほど得意分野ではないと感じます。
また、ハイテク株ばかりにポートフォリオが偏ると、ITバブル崩壊時のようにいつか大崩れをする際のリスクが大きくなります。9月前半からハイテク株は大きく調整され、徐々に回復をしています。どうしても上がり過ぎると、その反動で同じくらい調整も大きくなります。デリバティブ取引などでヘッジをしている関係、上昇も下落も幅が大きくなってしまうのです。
2人ともバリュー投資なので割安の際に取得をして長期で保有をして値上がりを待つというスタイルです。そのため、あまり流行りのハイテク株を多く保有するというスタイルではありません。
それよりも割安な銘柄を探してじっくりと粘り強く保有するスタイルです。バフェット氏に関しては資金が必要になるまでは株式を永遠に保有したいという発言も残しています。
株式は債券と比べると元本のボラティリティは大きいですが、ボラティリティは期待リターンの源泉にもなります。バフェット氏のように複数銘柄やセクターに分散させることでハイテクなどに集中投資をするよりもリスクは低減させることができます。
現在はインターネットで有名な投資家や保険会社や年金ファンドなどのポートフォリオを詳細まで見ることができます。
個人がポートフォリオの構成をコピーして保有することも可能です。海外の株は1単位から購入できる場合もあり、最低投資額も低めです。最低手数料が20ドル程度で設定されている場合もあるので20万円くらいから購入もできます。
もちろんバークシャーの真似をしても、取得のタイミングが違うので必ずしも利益が出るとは限りません。しかし、素人が適当に購入するよりも、プロのポートフォリオを参考にするか、インデックス投資をするほうが勝率は上がりそうです。
Next: 「100から自分の年齢を引く」と、最適な株式資産の割合になる
若年層ほど資産運用の知識が必要
コロナ不況から、ますます若年層の将来は厳しくなります。若年層ほど資産運用の知識を身につけて、少ない原資を最大限に活用して増やす努力をしなければなりません。
投資の世界では「100から自分の年齢を引いた数字を株式の割合(パーセント)にする」のが目安とよく言われています。20代の新卒であれば80%を株式に振り向けてもよいということです。
70代であっても、30%を株式に振り分けてもよいということ。人生100年時代なので、株式市場が好調な間に資産を増やしておきたいものです。
私はUSハイイールド債が7割、US株が30%のインカムとグロースを追求するファンドを比較的長期で保有していますが、3月末にはプラスマイナスゼロになりましたが、現在では25%プラスになっています。
一般的に債券を7割程度加えれば、かなり保守的なポートフォリオにすることができます。シンガポールの保険会社の養老保険などの運用なども債券7割程度になっています。
定年後もある程度はリスクをとって株式を保有してもよいのかもしれません。現在、米国債(10年)の最終利回りは0.7%程度ですが、株式の配当利回りは日本株の場合でも6%前後の銘柄を簡単に探すことができます。
例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループの配当利回りは5.71%、三井住友フィナンシャルグループの利回りは6.15%程度です。だからと言ってメガ銀行の株を買えばよいというわけではありませんが、たとえ株価が上がらなかったとしても、債券と比べるとイールドはとても魅力的です。
通貨分散をどうするか?富裕層のケース
通貨分散に関しては、やみくもにするのではなく、将来その通貨を利用するか、購入を検討している金融商品の通貨などで変更をする必要があるなどの理由があれば、分散を検討すればよいと思います。
基本的にUSドル建ての金融商品が多いために、富裕層の多くはUSドルをベースにして、生活をする国の通貨と分散をしている人が多いです。また、現物の金を常に保有していて、資金が必要になるまで永遠に売らないという富裕層もいます。
私の場合、日本円、シンガポールドル 、USドルなどに分散をしています。日本円とシンガポールドルに関しては生活に利用するからです。
子どもを海外で学ばせている場合、大学など高等教育がイギリスやアメリカになる場合が多いです。つまり、USドルやポンドなどが将来的に必要になる可能性が高いので、次の選択肢はこれらの通貨になります。
日本にずっと住む予定の人は、やみくもに為替リスクを取る必要はないと思います。
為替は短期や中期では2カ国間の金利差等に影響されますが、長期では物価に影響をされます。物価が上がった国では、貨幣の国内価値が下がるために対外価値である為替レートも一般に安くなります。
金利が高い南アフリカランドと円レートを比べると分かりやすいでしょう。南アフリカランド建ての外貨預金をしていれば金利はよいかもしれませんが、対円での価値は長期で下がり続けています。
つまり、いくら預金金利がよかったとしても、満期になって円に戻したら元本は減っていて、利息と合わせても、手数料を控除した後は増えているかは分からないということです。
Next: 外貨預金の「高金利」に飛びつくのは日本人だけ?
外貨預金の「高金利」に飛びつくのは日本人だけ?
過去の金融広告を見ると分かりやすいです。
例えば、南アフリカランド年利30%の1ヶ月もの定期の広告などです。広告内には、100万円の場合、片道の手数料は約2万円などと細かく表記されています。つまり、100万円で1ヶ月預けて、仮に2万5,000円の金利を得たとしても、片道手数料を引くと利益は5,000円になります。日本円にその時点で戻すと、往復手数料4万円からマイナスになります。
これは為替が動いていない前提なので、そのままランドのまま保有するとキャンペーン金利は外れて、通常の金利や次のキャンペーンを待つことになるのでしょう。長期で保有していると通貨の価値が円に比べると相対的に弱くなるので、損をする可能性も高いです。
日本人の間でカンボジアに米ドル建ての高金利の預金をしに行くツアーなども流行った時期があったようですが、現地の金融機関のリスクも当然あります。貸し出している先もマイクロファイナンスの場合もあるようです。
このように、「高金利」というだけで為替を変えて取引をするのは日本人くらいのようです。他の国の人は、先ほどの為替のメカニズムが分かっているので、必ずしも有利だとは考えていないようです。
また、30年デフレが続いた日本と異なり、外国では多くの人がインフレ率を上回るリターンを狙います。米ドルなら、10年米国債利回り0.7%程度+2〜3%程度を狙うということです。
つまり、通貨のまま保有するのではなく、株式や債券等で運用をするわけです。
日本人だと養老保険で1.5-2%の最低保証などがあると即座に魅力を感じるようですが、多くの国の人は、それではインフレリスクに対応できないと答えます。
インフレリスクを知らない日本人
日本人の多くはインフレを経験していません。遠い過去に経験をしたという人もいるでしょう。私も90代の祖母に第二次世界大戦による日本国債の破綻や酷いインフレの経験を度々聞くのですが、本当にインフレは恐ろしかったと語ります――
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『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』(2020年9月11日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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