しかし、これらはあくまでも副次的なものであり、研究者の多くは世界のありようを理解することを目的に研究を進めたはずだ。
その過程で社会に役立てられるならなお良いという話である。
ただ、近年の財政難のせいか、科学研究は投資であるという考え方が強くなってきている。
数年で利益になる科学研究を進めようと政府が誘導している感が強い。
実際に、AMEDなども科学研究で薬をつくり利益を得るという目的が見え隠れしている。
私も何度か民間企業だけで研究活動できないかを考えたことがある。
しかし、やはり民間企業だと研究は難しいのである。
なぜなら、民間企業だとどうしても、投資効率を指標にしてしまうからだ。
利益をださないと企業は株主から批判される。
そのため、投資効率の悪い研究を民間企業がするはずがないのである。
もし、そのような企業があれば、倒産する可能性が極めて高い。
よって、研究においては「投資」よりも「寄付」という考え方の方があっていると思う。
寄付なら利益にならないことにも手をだすことができる。
その過程で今までわからなかったことが見つかるかもしれない。
いくつか批判を述べたが、お金のない政府が科学研究費を削るのは論理的である。
よって、今後、科学研究費は削られる方向へ向かうことは間違いない。
となると、政府に頼らないで寄付金を集める新しい仕組みの開発をしないといけない。
その一つの社会実験として、私はこのメルマガを行っているわけである。
科学者が政府を介さずに直接市民につながり資金提供を募る仕組みである。
何事も最後に頼りになるのは、国民である。
月500円の研究費支援をいただけるとありがたい。
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『科学日誌』
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