プーチン大激怒!トルコのロシア軍機撃墜を各紙はどう報じたか

 

【読売】領空侵犯は本当?

【読売】は1面の中央に基本的な情報の記事を載せる。プーチン氏は「トルコ軍のF16戦闘機から発射された空対空ミサイルに撃墜された」と語り、また、「今日の悲劇的な出来事はロシアとトルコとの関係にとって重大な結果をもたらすだろう」と述べたとする。

関連記事は2面と6面。2面は、「対「イスラム国」亀裂も」との見出し。シリア内戦をめぐっては、ロシアや米国、フランス、トルコを含む関係20カ国・機関がウィーンに集まり、アサド政権と反体制派が年内に直接交渉を初め、半年以内に「統治機構」を樹立することで合意していたのに、今回の事件でその協力の動きに水を差す恐れがあるとする。

6面は国際面の記事で、「露、過去にも領空侵犯」との見出し。ロシアによるシリア空爆開始後、トルコによればロシア機が頻繁に領空侵犯を繰り返し、IS掃討と言いながら、シリア北西部のトルコ系少数民族の村が空爆されているとして反発を強めていたことが背景にあるとする。

uttiiの眼

13日のパリでのテロ、翌14日にはフランス軍による攻撃の激化と20カ国間の合意。シリア内戦の収拾手順について合意ができた後、米仏とロシアの双方が攻撃を激化させているのは、話し合いを始める前にそれぞれの支持する勢力が支配地域を広げられるよう、いわば駆け込み的に攻撃を強めている様子が浮かんでくる。既成事実を積み重ねておくことが、交渉を有利に進めるための前提条件になるわけだから、これは当然なのだろう。その中で、アサド政権を支持するロシアの戦闘爆撃機が、アサド政権と敵対するトルコの戦闘機によって撃墜されたことになる。

飽くまで報じられていることを材料に私見を申せば、ロシア側に領空侵犯によって得られるものはなく、逆にトルコ軍にはシリア上空で活動するロシア機を撃墜する利益は明らかにある。事実は分からないが、《読売》の見出し「露、過去にも領空侵犯」はミスリーディングだ。《読売》が勝手にロシア軍機の領空侵犯を断定するに等しい。少なくとも、読者には、それが当然の事実であるかのように受け取られてしまう。

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