プーチン大激怒!トルコのロシア軍機撃墜を各紙はどう報じたか

 

反体制派とISを同一視する事情

【毎日】は1面トップで基本的な情報。この撃墜事件について、イラク駐留米軍の報道官が「純粋にトルコとロシアの事件だ」と述べながら、ロシア軍機が「本来飛ぶべきでない空域を飛行していた」とも述べたとしている。

9面に関連記事。「IS包囲網 暗雲」との見出しで、今回の事件で米ロの協力が困難になったとしている。ここには他紙にない注目すべき情報がいくつか書かれている。

一つは、ロシア国防省が当初、シリア国内で地上からの砲撃で撃墜されたとしていたのを、プーチン大統領が訂正してトルコ軍機による撃墜としたこと。また、ロシア軍機が展開していたシリア北西部のラタキア付近に対する空爆を、「ロシア出身の武装集団が集中した場所。彼らがロシアに帰ってテロ攻撃を仕掛ける前の先制攻撃だ」と理由付けしたこと。その上で、「ISは(トルコ)国軍の全面支援を受けている」と述べていることだ。つまり、空爆は、ロシアにとっての「テロとの戦い」であり、それはトルコに対するものでもあるということになる。

uttiiの眼

プーチン氏はトルコに支援されているトルクメン人武装勢力とISとを同一視しているように見える。トルコがシリアを侵し、アサド政権を倒そうとしている張本人であり、だからこそアサド政権を支えるロシア軍機を攻撃したということだろう。だとすると、この一件は、シリアをめぐる基本的な軍事対立の延長線上で起きたことであり、単なる領空侵犯事件(実際に侵犯したかどうかも分からないが…)ではないことになる。《毎日》が心配するように、フランスのオランド大統領が手がけた仲介外交も座礁しかねないといったところか。

《毎日》の記事で一番印象深かったのは写真だ。他紙はすべてロイターが提供した不鮮明な写真を使用していて、「炎に包まれながら落下する軍用機」というような説明がついている(《読売》)のだが、《毎日》だけは火を吹きながら飛んでいるロシア軍機を鮮明に捉えた写真。提供元は「ゲッティ共同」とあるので、ゲッティ・イメージズから共同通信を経て配給された映像であることが分かる。動画も比較的鮮明なものがテレビのニュースで繰り返し使われているようだが、なぜ、このような映像が撮られたのか、不思議な感じもする。

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