どん兵衛が年越しそば、三が日は本格おせち。獄中の年末年始も悪くない

 

カップ麺といえども麺好きの私には久し振りでおいしかった。でも、備付けの箸が塗り箸で、麺をうまくつかむことができないのがもどかしく、何より1人でこんなところで迎えた大晦日は悲しかった。真実罪を犯したならば別であろうが…。山中の静かな拘置所に除夜の鐘が響いてきた。

三が日の特別料理は、毎朝の3食と元旦の昼食の合計4回供される。元日の朝食から紹介していく。

ご飯、お湯で温められたパック入りのおもち1個、大振りの海老・かまぼこ・伊達巻というおせち料理、柴漬け、これにすまし汁がつく。ラジオからは宮崎のお雑煮はすまし汁だという放送が流れている。

「麦飯」ではなく「ご飯」が出る。「麦飯」ではあるのだが、白米かと見間違うほどに麦の割合が激減していた。もっとも大分刑務所での正月は完全白米であったが。それでも、それまでの麦飯に慣らされつつあった私には感動のご飯だ。

海老の大きさにも驚いた。直径が2~3センチ長さは髭の部分を除いても15センチほどもある。身体拘束をされていながらこのような物を食べることができるとは思わなかった。年末になると寒さしのぎもあるが、そこそこの食事があるということで入所希望の犯罪者が増えるというのも納得できる。

昼食が本格的なおせち料理となる。朝食と同様のご飯、お吸い物に加えて、縦横40センチもあろうかという大きな弁当が配られた。「」と書かれた紅白の和紙に包まれた、見るからに豪華そうな弁当である。

一面では炊場で刑務作業をする受刑者を休ませるという側面もあるのだろうが、それにしても豪華である。中をあければ美しく彩られたいくつかのプラスチック容器が整然とならんでいる。その内容は次回以降に書こう。

著者/山本 至(やまもと いたる)
元弁護士。昭和29年生まれ。昭和51年早稲田大学卒業。金融機関勤務後平成元年司法試験合格、同2年司法研修所入所(修習44期)。平成4年弁護士登録(東京弁護士会)。平成18年に証拠偽造、証人威迫容疑で逮捕。無罪を主張したにもかかわらず、平成24年10月に最高裁判所で懲役1年6月の実刑判決が確定。宮崎刑務所、大分刑務所で服役し、平成26年4月出所。現在は自身の体験談などの執筆活動中。

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