このメルマガで「日本の素晴らしさ」を、「アメリカのバカっぽさ」をここ数回訴えてきました。 日本が世界でいちばん素晴らしい国だという認識は変わりません。
でもねー。
ここだけは強調したいのですが、NYの地下鉄でお年寄りが立っている光景をみることは絶対ありません。 15年間ほぼ毎日地下鉄を利用して、そんな景色はただの一度も見たことがない。
たまの日本出張。 1週間の滞在で何度、そんな光景を見たことか―。
そこだけは日本の圧倒的完封負けです。 断言します。
例えば、前に行く人が扉を開けた際、後から来た人の為に扉を手で支える―。
ニューヨークではそれが当たり前の光景になりすぎて、日本に帰ると驚きます。
先日、 est新宿の地下でベビーカー片手のお母さんが、重いガラス扉を片手で開けようと戦ってる。 そのスグ真後ろをオシャレな格好した若いカップルがガン見して一切助けようとしていない(これ、なんかの罰ゲームなの?)。
池袋のホームでおじいさんが買い物袋をぶちまけて転けた時、乗客全員がおじいさんとぶちまけられた買い物の品々を避けて歩き去っていく(モーセの十戒か?)。
前述のカップルの彼氏なんて、彼女に、いいとこ見せるチャンスじゃないの? それとも助けの手を差し伸べることが、ダサいこと、みたいなわけわかんない価値観まで日本は進んじゃってるの? (なんだ、それ 笑)いい人と思われようとしてると思われることが嫌とか?(めんどくせえ 笑)よくわかりません。
東海道本線で茅ケ崎まで行く車内の中、おばあちゃんが立っていました。 四隅の学生くん。 ビジネスマン。 ホストっぽいの。 OLはそれぞれ全員寝たふりか、ゲームに夢中。
僕がいる席からは少し離れてましたが、「おかあさん、こっち来なよ」と手招きして席譲る間も連中は寝たふりか、ゲーム。
(関東の地理に詳しくない僕は、予想以上に茅ケ崎まで遠くて、立ちながら、ちょっと失敗したかなと思わないでもなかったけど 笑)
しばらく経って、おばあちゃんの隣に座っている人が下車した際、おばあちゃん、今、空いた隣の席のシートをポンっ、ポンっと叩き「空いたわよ」と口パクで教えてくれました。
隣に座った瞬間、僕の耳元で「今日ね、主人にね、いいことあったわって帰ったら話すの」と。「なにがあったの?」と聞く僕にキョトンとした顔で「席、代わってくれたじゃなーい!」と嬉しそう。「 ヤメときなよ、そんなことでお父さん喜ばないよ」という僕に「もう10年この線に乗ってるけど、席を譲ってもらうことなんて滅多にないわ」と説明してくれました。
お年寄りが、電車内で席を譲ってもらったことが家族に話すトピックになる国。
そこだけは日本は後進国、だと僕は思っています。
「あ。 以前、アメリカ人さんに譲ってもらったことがあるわ。 なんかね、その人はオーストラリアに住んでる白人のオジさんだった」
おかあさん。 多分その人、オーストラリア人だと思うぞ(笑)。 (でもどっちにしても日本人じゃないんだ…)
これらの話を日本の方にすると必ずされる返答があります。
「イヤ、実は日本人もみんな席を譲ってあげたいんだ。 だけど、シャイだから、行動に出れないだけなんだよね」
そういった類いの返答をされます。
なるほど。 確かにそうかもしれない。いや、おそらくは僕もそう思います。 アメリカ人より、オーストラリア人より、日本人の方が絶対、優しいということを僕は知っているから。 その意見に100%同意です。
ただ、シャイだから行動に出ないのであれば、一生、シャイで家に閉じこもってたら? とも思ってしまいます。
人と人の距離感の違い―。 あまりに他人のスペースを尊重する文化は尊重しすぎて、助けの手すら差し伸べないなら。
距離感、間違えてるよ!
2~3年前、ニューヨークのエンパイアーステートビル付近で射殺事件がありました。この街でソレ自体は珍しいことではないのですが、まだ息のある絶対安静の被害者をおせっかいニューヨーカーたちが救急車が来る前に運んじゃって殺してしまった事件がありました。 やっぱり日本の方が正しいかも? 距離感。
image by: Shutterstock.com
『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋
著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
≪無料サンプルはこちら≫