中国経済の大崩壊はあるのか?漂い始めたソ連末期と同じ空気感

 

当時のソ連の状況

当時私はソ連も訪れているが、駅の裏に行くと戦後の日本のような状況であったし、デパートやスーパーにモノがなかった。そこで、近郊の村々からトラックに野菜などを載せてそれらを買っていた。結局ソ連は軍備競争の為に鉄鋼などを多量に作りGDPは大きくなったが、生活用品は作っていない。当時「ソ連にはアイロンが1種類しかない」と言われたほどで、生活必需品を作らないので種類もデザインも何もないというのがあの当時の実態であった。

そしてソ連は金や石油を売ることで、おカネを儲けていたが、それらもだんだん売れなくなり崩壊していく。つまり、モノを作ってそれらを輸出するという経済になっていなかったということだ。

ソ連のクーデター

当時のソ連の動きはエリツィン氏がゴルバチョフ氏を批判し、その一方で保守派は「ペレストロイカ」に関して気に入らない。ゴルバチョフ氏はクリミア半島の保養地フォロスで休暇中、大統領府長官ら一行が面会を要求し、副大統領への全権移譲と非常事態宣言の受け入れを迫ったがゴルバチョフ氏は拒否。ソ連ではクーデターが起こりモスクワで銃撃戦が行なわれたこともあった。エリツィン氏は強面で勇気もあった、戦車の上でクーデターを阻止したことにより民衆の支持を得た。

このようにしてソ連ではゴルバチョフ氏からエリツィンへという流れで崩壊していく図式になり、西側も一時エリツィン氏を支持し連戦を終らせようという動きになっていく。

同じような空気感

そういった状況と必ずしも一致はしないが、今の中国は何となく似ているようなところがあるというように思う。中国の方々に取材をしてみたが、なんとなく湿っぽい。贅沢禁止令もあり、うまく商売が運営できないからつぶれるのではなく突然国の方針が変わることによってその企業をつぶすということもあるため、中国の人達は何となく萎縮している。

中国は陸軍を縮小し改革しようとしているが、その反面太平洋に進出するため海軍や空軍の強化をはかっていることから内部分裂もあるようだ。習近平氏を守っているのは海軍であるとも言われており、当然不満分子も出て来てくる。

今後の注目点

中国は間もなく「新五か年計画」を3月の全人代で発表するが、ここで国民が納得するような内容が出てこないと習近平政権は「チャイナリスク」と言われるようなことが世界に広まっていくだろう。ここでは数字も発表されると思うが、これまで中国が発表した数字は信用ならず、その数字がどうなのかという点も注目される。

(TBSラジオ「日本全国8時です」1月26日音源の要約です)

 

 

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」
ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。
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