社員に「俺を刺し殺せ」。京セラ稲盛氏がそこまでして伝えた熱意

2016.02.25
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by まぐまぐ編集部
 

京セラ」の稲盛和夫さんが、「創造的な革新」に至った「その時」を見てみましょう。稲盛さんが大学を卒業して就職したのは、京都の碍子製造会社、松風工業です。稲盛さんはここで、ファインセラミックスの将来性を予感することになります。しかし、新任の技術部長と意見が合わず、元上司らの応援もあって「京都セラミックを創業することになります。

そして創業2年目、思わぬ事態に見舞われました。11名の高卒従業員が、過酷な作業状況に対して不満と不安をつのらせ、将来の保証を求めて団体交渉を起こしました。「その時」に稲盛さんが考えたことと経験が、のちの京セラの「強みの源泉」となる、普遍性を持った「考え方」と、独自の「経営システム」を生む契機となりました。

「だまされたと思ったら、俺を刺し殺してもいい」という言葉まで飛び出した三日三晩の話し合いを通し、熱意が通じて、交渉はようやく決着しました。稲盛さんはこの過程で、「会社とはどういうものでなければならないか」を考え続けました。やっとたどり着いた考えが、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類社会の進歩発展に貢献すること」という経営理念です。

企業が成果を発揮するには、「創造性」と「生産性」を人々の働きを通していかに実現させるかにかかっています。「京セラ」創業当初、経営者が深く思い至り、「全従業員の幸福を目指す会社へと生まれ変わる」約束をした「覚悟」と「ヒラメキ」は、企業の精神的な強みとなりました。京セラは「この時」、会社経営の確固たる基盤を据えることになりました。

創造的な革新のアイディアは、危機的状況の中で痛みを覚えた「その時」に、経営者が覚悟とともに生み出す、「真実の瞬間の産物なのです。また、「二度と同じ痛みを味わわないぞ!」という、「恐れを知る者」が持つことのできる知恵です。松下幸之助さんは、「楽観よし悲観よし。悲観の中にも道があり、楽観の中にも道がある」と、悲観の中にあっても、楽天的に道を求めていくことの大切さを述べています。

蛇足で付け加えると、短期間でゆるぎない優良企業へと成長した企業を見ると、「トヨタ」にしても「ホンダ」にしても、強い危機感を持ちながら、「逆作用」として起こる崩壊と発展の変動を通して、「摂理」と「知恵」を学んでいます。GEのジャック・ウェルチや松下さん、サントリーの佐治敬三さんは、高収益の時にわざわざ危機的状況をつくり、「創造的改革」を断行しています。

 

 

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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