【書評】なぜAmazonの返品ハードルは低い?答えはアドラー心理学に

 

p25ではアドラー先生に、「理性も感情も存在しない! 君は全部の心で『怒りたい』と思っているんだ!」と叫ばせて、「目的」を達成させる手段として相手は怒っていることを解説してくれます。

じつは、わたし、クレーム対応で必要とされる、「感情的になった相手を鎮め、理性的に話を進める」こととまったく違うので、『嫌われる勇気』を読んでも、この部分がよくわかってませんでした。しかし、p31で、「原因」にうごかされるのではなく、できごとを使用して、目的を達成しようとしているという解説があり、今はすこし理解できた気がしています。

例えば、購入した商品にクレームをつけてきた相手がいます。買ったはいいけど、やっぱり「使いたくない」と思い、使わずにすむ目的を探した結果、商品のアラを見つけ、クレームをつけてきている。アドラー心理学では、このようになるのでしょう。すると、怒りという感情を解決するより、「目的を満たしてあげればいい、ということになりますよね?

わたし、コレを読んですぐに、アマゾンがおこなっている対応を思い浮かべました。じつは、アマゾンは、返品のハードルがとても低いそうなのです。返品希望の客は、怒っていようが困っていようが、「目的」は「返品できること」です。ならば、四の五の言わずに返品を受け付ければ、クレーム対応をおこなうための、無駄な労力や、大切な従業員のメンタルを疲弊させることがない

相手は怒りたいから怒ってるけど、返品さえ受けちゃえば目的は達成するわけで、怒らなくて済んでしまうわけです。

アマゾンは、とても合理的に思えますが、なるほど、アドラー先生の言うとおりにやってるんだなぁと、感心する思いです。

『マンガで分かる心療内科 アドラー心理学編』(ヤングキング・コミックス)、ギャグマンガなので、絵や笑いのポイントに好き嫌いはあると思いますが、マンガとしても完成度は高いと思います。

アドラー心理学に興味はあるけど、でもとっつきにくいと感じていたら、ぜひこのマンガを、読んでみてください。また、ほかのアドラー心理学の本を読んでいても、新たな発見があるかもしれません。

p90で、「誰に嫌われてもいい! 君が『人のためになる』と信じることをしろ!」とアドラー先生が叫んでいるのを読んで、嫌われる勇気で書かれていたことばを、間違って解釈していたことに気づきました。自分の人生を、「自分の好きに生きる」ためには、誰かに嫌われても仕方ないと解釈してました。あぶねー、気づいてよかったー(笑)。

あ、あと、オマケっぽいのですが、巻末の番外編4コマが秀逸です。知られざる、アドラー先生の秘密が描かれており、とても面白いですよ。

image by: Shutterstock

 

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