もし日本が「核を持つ」と言ったら、世界は反対しないのか?

 

産油国は、日本への原油輸出をやめない?

イランは反米国家なので日本に石油を輸出することはやめないでしょう。また、中東の産油国は日本に輸出できなければ自分たちが困るので禁輸に賛成しないと思います。

(Tさまのメールから)

イランも中東産油国も、「禁輸はしない」。もう一度「国連の構造」を思い出してみましょう。国連安保理の決定は、「法的拘束力」を伴います。ですから、安保理が決めたら、全世界が従わなければならないのです。安保理が日本に石油を輸出するな!と決めたらそうしなければなりません

日本に金融制裁はできない?

金融制裁もできないのではないでしょうか。日本は海外から借金はしていません。すべて日本国内で資金を回しています。むしろ日本がアメリカ国債を買わなくなれば困るのはアメリカです。以前、橋本首相がアメリカで米国債の売却に言及したところ米国債が暴落して金利が跳ね上がり、ニューヨーク証券取引所の株価が一時急落したことがありました。

(Tさまのメールから)

「金融制裁」の一種に「資産凍結」があります。つまり、資産の処分を禁止するのです。米国債は、アメリカの借金で、日本の資産です。「核武装で世界秩序を壊そうとする日本が米国債を売ることを禁止する!」とアメリカが決意すれば、英仏中ロは支持することでしょう。

問題の本質は?

「核武装問題」の本質はなんでしょうか?

日本は、「中国の脅威」があるので、「核武装」したい。ところが「核武装」すると、中国だけでなく、アメリカ、全世界を敵にまわしてしまうリスクがある。そういうことなのです。

ところで、なぜ戦前日本は満州にこだわったのでしょうか? そう、ロシア(後にソ連)の南下を恐れたからです。ところが、満州に固執するうちに、いつの間にかアメリカとイギリスも敵にしてしまった。1933年、国際連盟で「満州国建国」を支持する国は日本以外になく、結局脱退に追い込まれます。こうして日本は、世界的に孤立し、「破滅への道」を歩み始めたのです。

戦前、戦中の重要な教訓はなんでしょうか?「孤立すれば破滅する」です。「核兵器さえもてば、すべて解決」という思考は、「満州国はわが国の生命線」と決めていた思考によく似ています。

 

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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