戦わずして勝つ。中国の脅威をかわすための「対ロシア戦略」

 

ロシアの戦略的位置

では、日本にとって、ロシアの戦略的位置はなんでしょうか?

「日米 対 中国」……こういう戦いになれば、日米は圧勝できます。

では、「日米 対 中、ロシア」の戦いだったら、どっちが勝つのでしょう?

難しい質問ですね。

難しいですが、「日米 対 中国」の方が、「日米 対 中ロ」よりずっとマシなことは素人でもわかります。

もちろん最良の形は、「日米ロ 対 中国」である。それが無理ならば、少なくとも「日米 対 中国 (ロシア=中立)」にしておくことが、戦略的に重要です。

だから日本は、中国とロシアを分裂させておかなければならない。これが、日本の戦略からみたロシアの位置づけです。

日米中ロの4国関係で、日本が取るべき戦略は以下のとおりです。

1、中国に「戦争をする気」を起こさせないよう、アメリカとの関係をますます強固にする

2、それをベースに、中国とロシアを分裂させる。具体的にはロシアを日米陣営に取り込む

ですから、「対ロシア政策」は、日本とアメリカが一緒になって行う必要がある。日本だけがフライングしてロシアと仲良くなり、日米関係を犠牲にしてはいけないのです。

そして、前号でも書いたように、アメリカは戦略的に、日ロ接近を嫌がります。

それなら、「米ロ接近」だけでも、戦略的には同じこと。結果的に、「日米 対 中国 (ロシア=中立)」になるのですから。

ちなみに、世界3大戦略家のルトワックさんは、「ロシアを中国包囲網に取り込む重要性」を繰り返し説いておられます。

最後に、引用しておきましょう。ルトワックさんは、日本が独立を維持できるか、それとも中国の属国になるかどうかについて、以下のように述べています。

もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。(188p)

ちなみに、ルトワックさんの自滅する中国は、日本の指針を知りたい方必読です。是非この機会にご一読ください。

image by:Wikimedia Commons

『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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自滅する中国
漢民族の意外な弱点にも触れられています。

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