【座談会】世の中の仕組みがよりクリアになる、超面白い「法律」の話

 

「寄与分」には気をつけろ!

三浦:民法ってこういうものの積み重ね。家族法でもこういうのどんどん出てくる。

相続とか重要ですよね。うちは百姓なんですけども、例えばおじいちゃんが死んだとしてもうちのお父さんとお母さんは百姓でおじいちゃんとおばあちゃんとやっていたから、兄弟たちは嫁いで出て行ったんですよね。百姓としての仕事を手伝っているわけではないんです。これに関する情報とかがちゃんとあるんですよね。

河野:相続はけっこう価値観がでるところなんでどっちが正解っていうことはないんですけど、「寄与分」と言って、財産を増やすことに貢献したならその分は特別に認めてあげようよっていうものもあるんです。

三浦知らなかったら三等分しようよってことで終わるんですよ。でも本当は違うんですよ。うちのおじいちゃんね、先代からもらう時に間違って三等分しちゃったんです。本当は「寄与分」があってその財産をその先代と一緒に作った分があった。だから平等に三等分する方が不平等なんだよね。

河野:これは本当に価値観の問題ですよね。もともと相続って不平等なんですよ。

三浦:何で?

河野:だって、金持ちの家に生まれたら、それだけもらえる見込みがあるってことだから。そこまで突き詰めると不平等なんですけどね。

三浦:どちらかといえば、というのが法律ですよね。だから寄与分のやつを多く長男はもらえるんですよね。

河野:長男だとは限りませんけどね。極端な話をすると長男が全部取るってやっていた時代もあるわけじゃないですか。それを分けたことで鎌倉幕府が大失敗してつぶれたっていうのはあるわけで……。

三浦:そうなの?

河野:そうですよ、御家人が土地をどんどん分けて行って細分化したせいでみんな貧乏になっていっちゃって……。

三浦:それで長男に継がせろ、みたいな感じになったのか。

河野:江戸時代はそうなった。だけど今度は、明治でヨーロッパの制度を入れる時に、生まれがたまたま早いか遅いかでそんな取り方に差が出るなんてことにならなくてもいいんじゃないかっていう価値観が入って来て、また法律が変わった。

三浦:なるほどな、そういうのがあったんだ。

河野:そういうのが残っているせいでおかしくなっちゃっていたりするんですよね。

三浦:なるほど。法律ができるには理由があるんですね。

河野:考え方によって法律も変わるんですよ。だから本当は、どっちが正解っていうことではないんですよね。

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