【座談会】世の中の仕組みがよりクリアになる、超面白い「法律」の話

 

法律用語は日本語と違う!?

三浦:法律学び始めて思ったのが、「(法律用語が)日本語と違う」ということ。

かなり日本語と解釈が違う単語が結構あって。「善意の第三者」とかですね。

河野:これパッと見てどういう意味かわかります? 善意っていい人って意味だと思っちゃいますよね。

三浦:「善意」って小説的な意味では「いい人」ですよね。善意で川に飛び込んで助けた、みたいな。

それが法律用語では……?

河野「知らないこと」ですね。

三浦:「善意の第三者には対抗できない」っていう民法に良く出てくる表現あるんですよね、但し書きの後に。それって「そのことについてしらない第三者にはそのことについて権利を主張することができない」って意味ですよね。だから日本語とまるで違う。たまに契約書に使われることもありますよね。

あと、他に衝撃的だったのが「みなす」と「準用する」「推定する」というもの。これってどういう違いなの?

河野:「みなす」っていうのは、「そういうことにすること」。それとは違うっていう主張は通らない

三浦:そうそう、ほぼ確定なんだよね。「推定する」は?

河野:「推定する」は「いちおうそういうことだろう」、としておくこと。そうではないことが証明できれば、そうじゃないことにできる。「反証を許す」かどうかってよく言われるんですけど。

三浦:「反証」ってやつね。だから法律用語では全然意味が違うんですよ。あまり小説用語だとあまり変わらない、レトリックの範疇になるんですけど、まるで違う。

逆に「悪意」、つまり「善意ではない」というのは「知っている」ですもんね。だから「善意の第三者に対抗できない」ってことは、「悪意の第三者」、「知っている第三者には対抗できる」っていうことなんですよね。

河野:民法の基本ですね。民法は知っているかいないかで結論が分かれることが多いんですよね。

僕は小説を読んでいて「善意で川に飛び込んで助けた」なんて言われると、「何も知らずに飛び込んだ」って意味だと思ってしまって、あれ?ってなるんですよね(笑)。

三浦:条文の読み方がポイントを掴めると全然変わってくるんですよね。だから、小説書いていると「善意の第三者」とか書いちゃいそうになるんですよね。法律用語が小説用語に入ってくるっていう……ちょっとやっかいなことになったんで、一時期止めた時があったんですよね。染みついちゃうと「みなす」とか「推定する」とかは自然と出てくるようになる。あと「但し書き」とかもあるよね。

河野「但し書き」っていうのは実はすごく法律の読み方の一番肝なんです。

三浦:ただし、って小説でもよくでてくるじゃないですか。でも「ただし」は気をつけろ、ですよね。「但し書き」っていうのが出てきて、いろいろな条文に但し書きって使われますよね、それってどういう風に使われるんですか?

河野:条文の根本として大事なのは、何が原則で何が例外なのかっていうことなんですよね。「ただし」っていうのは基本的には例外

三浦:なるほどね、そういうことなんですね。

河野:条文っていうのは全部並列して並んでいるでしょ、一条からずっと。だから何が原則で何が例外かっていうのを関連付けて覚えておかないとわけわからなくなっちゃう。その手がかりが「ただし」なんですね。

三浦:本屋としては六法も持ってもらいたいんですけども、重いし持ち歩けない。今はアプリとかもあるらしんですけどね。

河野:僕は「アンド六法」を使ってますね。

三浦:あ、iPhoneでも出た!

河野:無料アプリの中で条文はだいたい引けますね。

大元は法務省の「法令データ提供システム」っていうので、そこにアクセスして条文引っ張ってこれるアプリなんですね。

三浦:連携しているんですね。

河野:アプリは何でもいいんですけども、そういうのを入れているとすぐに見れる。出先でたまに問い合わせが来たときなんかはこれでパッと調べられるので、弁護士も結構使っていると思いますよ。

三浦:たしかにわかりやすいですね。「民法」とか調べただけで出てくる。「事例語順音別」とかいろいろ出てくる。皆さんぜひこれ入れといてもらった方がいいですね。

河野:最終的には六法で調べますけどね。でも出先で緊急の時とか条文の検索はやはり電子の方が速いですからね。

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