参院選で「戦後」が終る。憲法改正草案を読んでわかった危険性

 

残念ながら、その孫、安倍晋三は確実に岸のDNAを継承し、祖父のなし得なかった憲法改正のチャンスをうかがっている。祖父を超えたいのである。一族における栄誉を勝ち取りたいのである。

選挙の結果、衆院とともに参院も3分の2の数がそろえば、安倍首相はかならず憲法発議を仕掛けてくる。まずは9条ではなく、緊急事態条項を加えることにターゲットをしぼるだろう。「大災害に対応するため」との理由で国民を納得させやすいと踏んでいるからだ。

民主主義的なワイマール憲法の「国家緊急権」を悪用してヒトラーが独裁体制をつくったのを思い起こさねばならない。自民党草案でも、緊急事態を宣言すれば内閣総理大臣に権力が集中し、国民は自由を制限されて国の指示に従うという条項になっている。

報道によると、自公など改憲勢力が78議席以上を獲得して3分の2の議席を確保することもありうる選挙情勢だという。

もしそうなって憲法改正が発議され、国民投票となれば、英国のEU離脱騒動に似たような事態に陥らないとも限らない。

自民党の憲法改正草案のような憲法になってしまえば、逆に国民の自由や人権が縛られ、平和国家から戦争のできる国家に変質させられてしまう

「後悔先に立たず」だ。憲法改悪の芽を摘み取っておくという明確な意思のもとに一票の力を使いたい。

 

 

国家権力&メディア一刀両断』 より一部抜粋

著者/新 恭(あらた きょう)
記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。
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