日本の隠れた家族問題。親が死んだら「兄弟の扶養」を断れますか?

 

さて、前ページの続き。水よりも濃い血のつながりが人生で重すぎる負荷になることがあるというオハナシでしたね。

で、こういうとき、やりがちなのが「抱え込みすぎによる共倒れ」です。自分の家庭以外に別の家庭やオトナを支えるのは、並大抵の労力では済みませんからね。

その意味で、この問題は根本的には、個人の努力でナントカできるようなモンダイではなく、行政的な支援が必要なものだと思っています。別の言葉でいえば、問題を社会化させるということです。たとえば、問題となりそうなところをちょっと考えてみると

  • 就職活動のスキル
  • 身の回りの始末が出来る家事能力
  • 夜寝て朝起きる、挨拶するなどマトモな生活習慣
  • 人と上手くやっていくためのコミュニケーション
  • 健康を維持するための食育

などなど。考えつかないほどの多様でキメの細かい息の長い支援が必要です。まあ、ハッキリ言えば、肉親の代わりに育て直しをするようなものなのですからね(ため息)。

さて、とはいえ行政がなんとかしてくれるのを待っている時間はナイんですよね。自分で出来ることをなんとかしないと。こういう社会的に見て難しい兄弟を抱えている場合、おそらくもっとも重要なのは、自分の自立を確保しておくことでしょう。どれほどかわいそうでも、共倒れになっては元も子もありません。相手だけじゃなく自分まで自滅してしまっては、助かった人は誰もおらず、不幸が拡大しただけになってしまいますから。こういうとすごく冷たく聞こえるかもしれませんが、情よりも理屈と数字で事実を押さえておく必要は絶対にあるんです。

なので、少々ロコツなことを言わせてもらえば、特に金銭面で「これ以上のお金は出せない」という上限を死守することです。お金の問題だけに援助できる金額をハッキリさせておくことです。そしてそれを自分でも守るんです。そして、この「お金」には「時間」や「労力」もある程度加味して考えることです。たとえば、遠方から新幹線に乗る必要があるなら

  • 新幹線代
  • 宿泊費
  • 仕事を休む負荷

など最低でもこのくらいは加味すべきです。月に5万くらいを援助すると仮定します。東京新大阪間の往復新幹線代は2万7,240円なので、月に二回は行けないことになりますね。こういうのをマジでちゃんと計算するんですよ。そして、その範囲ではできるだけのことをしてあげるんです。イヤイヤではなく進んでやってしまうんです。一応水より濃い仲なんですから。

次ページはいよいよ本人その人のお話。

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