業界団体との確執
ネスレ日本は卓越したマーケティング戦略により、業界を牽引する企業へと成長しました。一方で、その成功は業界企業から嫉妬されるようになりました。
ネスレ日本は2013年9月から、「インスタントコーヒー」という呼称をやめ、新たに投入する商品から呼称を「レギュラーソリュブルコーヒー」に変更しました。
「ソリュブル」は英語で「溶ける」を意味し、細かく挽いたコーヒー豆の粒子に独自のコーヒー抽出液を混ぜ合わせて乾燥させる新製法のコーヒーです。
コンビニコーヒーが台頭しコーヒー業界の競争が激しくなるなか、革新的な商品イメージを確立するために、「レギュラーソリュブルコーヒー」という新しい呼称を打ち出したのです。
しかし、業界団体はネスレ日本の新しい呼称商品はインスタントコーヒーであると結論し、ネスレの「レギュラーソリュブルコーヒー」という表示を認めないと発表しました。
業界団体は、ネスレの新製法での商品は重量比によって「インスタントコーヒー(レギュラーコーヒー入り)」または「レギュラーコーヒー(インスタントコーヒー入り)」に分類するよう求め、新呼称は「一般消費者が誤認するような表示は不当表示に当たる」旨を盛り込んだ公正競争規約改定案を採択しました。これにより、新ジャンルや「レギュラーソリュブルコーヒー」という呼称の使用や広告での使用を認めない見解を示しました。
ネスレ日本はこれに対し「企業活動を阻害する」と強く反発し、全日本コーヒー公正取引協議会、全日本コーヒー協会、日本インスタントコーヒー協会、日本珈琲輸入協会の4団体を退会しました。業界自主ルールではなく、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)を遵守した表示を行っていくとしています。