これがマーケティングだ。社名より商品名が有名なネスレ日本の戦略

 

SNSを有効活用

ネスレ日本はマーケティング戦略において、ソーシャルメディアを有効活用しています。

2010年8月、チョコレート菓子の「キットカットを37年ぶりにリニューアル発売する際に、ソーシャルメディアのmixiを活用して口コミを拡散させました。他の広告・販促活動も相まって、キットカットリニューアル発表会には22万人を超える行列ができました。

2013年、キットカットのパッケージでタレントの絢香さんのARライブが楽しめるキャンペーンを実施しました。そのキャンペーンと連動させる形で、Facebookなどに「ありがとうにまつわるエピソード」を投稿すると、抽選で絢香さんのプレミアムライブに参加できるキャンペーンを開催しました。

このように、ソーシャルメディアを活用して様々な販促を仕掛けてきました。一方で、ネスレ日本はソーシャルメディアを通しての顧客との対話を重視し、対話の中から潜在的な顧客ニーズを探っていきました

ネスレ日本は2009年に「VOC推進室」(VOC=Voice of Consumers)の運営を開始し、顧客と向き合う部署を発足させました。

ところで、近代マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラーは「マーケティング3.0」において価値主導のマーケティングの重要性を提唱しました。企業と消費者が共に価値を見いだしていく時代になったと述べています。

VOC推進室はまさに価値主導のマーケティングを実践しています。ソーシャルメディアを有効活用して価値創造を進めていきました。ソーシャルメディアで語られている同社商品に対する膨大な声を地道に拾い上げ、商品を消費してどのように感じたのか、さらにどのような体験を求めているのか、といったことを探求していきました。

こうしたソーシャルメディアでの潜在的な顧客ニーズの探索から具体的な商品の改善に取り組んでいます。

例えば、「キットカット」の語感と九州の方言で「絶対に勝つぞ」を意味する「きっと勝つとぉ」の語感が似ていることから、このことが受験生の間で口コミが広まり、受験に勝つためのお守りとしてのキットカットが定着しました。そこで、キットカットのこうした価値を受験以外でも活用できるのではないかと考えました。

ソーシャルメディア上の投稿を分析し、受験以外でどのようなシーンで使われているのかを探ったところ、家庭やオフィスで頑張っている人に対してのちょっとしたねぎらいでキットカットを差し入れるという活用がされていることが分かりました。

そこで、キットカットのパッケージの箱や中の個包装などにメッセージ欄を設け、頑張っている家族や友人にメッセージを書けるようにしました。メッセージを書いたキットカットを人に渡すことができるようにしたのです。

さらに、遠方の家族や友人にも届けられるように、日本郵便と共同でキットメールのサービスを開始しました。キットカットの箱に手書きでメッセージや伝えたい思いを書き添えて郵送できるようにしました。

また、オフィスでもキットカットをもっと食べてもらおうと考え、オフィスでの普及に力を入れてきました。キットカットにメッセージを書いて渡すことができるため、職場のコミュニケーションが円滑になり、仕事の効率化と良好な人間関係の構築に役立つと企業側も考えるようになり、多くの企業で取り入れられています。

このように、ソーシャルメディア上の潜在的な顧客の需要を的確に拾い上げて様々なマーケティング活動に取り入れてきました。このような活動から、顧客との間に絆をつくることができ企業ブランドと商品ブランドを確立することに成功してきたのです。

ネスレ日本は卓越したマーケティング戦略を展開することで総合食品飲料企業の先端を走っています。「マーケティングの会社にふさわしい企業といえそうです。

 

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著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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