日本の技能は凄い。ペリーも目を見張ったメイドインジャパンの底力

 

「学ぶ」は「真似ぶ」

日本語の「学ぶ真似ぶ」、すなわち「真似をする」というのが語源らしい。優れた先達の真似をすることは、技術の発展の最初の基礎となるステップなのであって、なんら恥じることではない。そのうえにどれだけオリジナルな工夫を積み重ねたかが問われるのである。

伊勢神宮の装束神宝の制作者たちが、先代の作品を「見真似」て、その技法を自分なりに一から捉え直し、さらに先代に負けないような立派な作品を作ろうと努める、というプロセスは、こうした技術の本質を捉えたシステムであると言える。

ペリー一行が、日本人を「他国民が物質的なもので発展させてきたその成果を学ぼうとする意欲が旺盛であり、そして、学んだものをすぐに自分なりに使いこなしてしまう」と記述しているのは、短期間の滞在にも関わらず、先人の上に新しいオリジナリティを発揮していこうとする日本人の姿勢を鋭く捉えているのである。

先祖に申し訳ない

伊勢神宮に見られる技術の継承・発展のシステムで、もう一つ特徴的な側面は、一度つかんだ技術を大切に継承するという姿勢である。伝統工芸の職人たちは、「先祖が残してくれたものを絶やしたり、レベルを下げたりしては申し訳ない」という発言をよくする。

これはプロの職人だけのことではなく、最近でも町おこし、村おこしと称して、郷土に根ざした工芸・祭り・芸能などの復活が盛んに試みられている。郷土の先人が残してくれたものを、埋もれたままにしておくのは忍びない、という意識が働くからであろう。

そして、このように従来の技術を消滅したり衰退したりはさせないという無意識の自信が、新しいもの、外国のものでも積極的に「真似び」、自分のものにして行こうという姿勢に結びつく。

こうして伝統技術の蓄積と継承が、新しい技術革新の土台となっているのである。しっかりした土台があるからこそ、高い跳躍も可能となるのである。

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