東芝を追い詰めた、日本式「意思決定」プロセスの弊害

 

米国の企業では、企業間の交渉の際には、経営陣から「最低限守らなければならない条件」が与えられた上で、全権が担当者に与えられます。例えば、買収の場合であれば、「最大限払って良い金額」だとか「買収後に数年間は会社に縛り付けておくべきメンバーのリスト」などが、その条件です。

担当者は、その条件の範囲内であれば、全権を持って交渉できます。経営陣に相談しなければならないのは、その条件を変更しなければならない場合のみです。そのため、交渉の場で色々なことがスピーディに決められるのです。

逆に、日本の場合、多くの場合、担当者は全権を持っておらず、交渉の場で相手から出てきた要求に対する返事は「持ち帰って検討する」ことが一般的です。

そんな意思決定システムを持つ日本の会社が米国の会社を買収する場合、全権を持たない担当者は、契約の細かな条件を決める際には、単に相手の企業と交渉するだけでなく、経営陣からの承諾を取るための社内交渉に大幅な手間と時間をかける必要があります。

その結果、担当者は、買収相手に対しては買り手」でありならも、社内の経営陣に対しては売り手」というとても微妙な立場に自分を置くことになります。さらに、社内のコンセンサスを取るための努力をしている過程で、「買収を成功させることが自分のキャリアにとって重要、という状況にまで追い込まれてしまうことがしばしばあります。自分が担当している買収を成功させるために、社内の様々な人に協力してもらって「借り」を作ってしまった結果、「今さら後には引けない」という状況になってしまうのです。

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