稀有な国民性。なぜキューバには人種差別が存在しないのか?

 

ターミナルは何番?と聞かれ、手元の資料を確認しようとすると「あ、USA行きか、じゃあ、2番だ、2番!」と答える前に納得していました。 「ホント? ちょっと待って、いま確認するから」と言うと「大丈夫、大丈夫! 何回空港まで客を運んだと思ってるんだ、毎日行ってる場所だぞ! アメリカ行きは2番だよ」と自信満々に満面の笑顔でウインクしてくるので、さすがプロだなと感心しているところ、空港でお金を受け取るところを見られると、摘発されちゃうから、事前に払ってくれないか、と言われチップ込みで多めに渡します。 すると機嫌をよくしたのか、空港までの40分、延々と(聞いてもない)身の上話をしてくれました

でも初日の運転手と違って、彼は英語が話せたので、それなりに60歳くらいのキューバのタクシー運転手の半生記を面白く聞きました。

自分は、実はエクアドルの出身であるということ。 そこでマリーン(海軍)のキャプテンまで上り詰めたということ。 知り合った後に奥さんになる女性がキューバ人であったということ。 キューバに移民して来たときには、すでに革命後であったということ。 経済制裁を気にするよりも、エクアドルの内戦状態がひどかったということ。 子供は娘が2人いて、ひとりはキューバで医者になり、ひとりはスペインに嫁いでいって、今年の夏に出産予定だということ。 孫が出来ることが神様からのスペシャルギフトとして、とてもとても幸せだということ。

よくもまぁ、知らないアジア人の一見の客にここまでの半生記を話してくれるなぁと感心しつつ(笑)。

おまえたちはどうして日本のような素晴らしい国を捨てて、アメリカみたいなクレージーな国に住んでるんだ? と本当に不思議そうな顔で聞かれました(笑)。

このオッチャンも含め、キューバ人は概してみなさん本当にいい人ばかりでした。

握手して別れ、空港に入ると、当然のオチのように空港スタッフに「USA行きはターミナル3番よ」と言われ、またそこからタクシーに乗り直すハメになりました。

このオッチャンのように、キューバ人は概してみなさんいい人で、それに輪をかけていい加減でした。

半袖、半ズボンのカリブ海から、4時間半—。 到着したニューヨークは吹雪で積もってました。

image by:Shutterstock

 

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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