稀有な国民性。なぜキューバには人種差別が存在しないのか?

 

支倉常長(はせくらつねなが)の像。 無知な僕はまったく知らない戦国時代の人物でした。 銅像として、キューバに建てられていました。

ガイドブックによると、今から400年前、伊達政宗により慶長遣欧使節団としてヨーロッパに送り出された一行の責任者だそうです。

ローマに行く途中に、この地キューバに立ち寄ったとのこと。

プエルト通り沿いに、竹の生える日本風な庭園があり、その中央に羽織袴姿で、腰の刀をさしたかなり立派な銅像です。 その手には畳んだ扇子がローマの方向に向かって差し出されています。仙台育英学園からの寄贈だそうです。

400年前のちょんまげ時代、命をかけて航海してたどり着いたこのカリブの島は彼の目にはどう映ったのだろう。

そんなことを考えながら、引き続きガイドブックを読むと最終的にはローマにたどり着き、時のローマ法王パウロ5世に謁見までしたそう。

大役を果たして、日本に(命がけで)帰国すると、そこにはキリシタン禁制になっている、まったく新しい日本があったのだとか。 歓迎されるどころか、キリスト教に改宗した常長を喜んで迎える日本人は誰もいなかったのだとか。 失意のまま2年後に没—。 絵に描いたような「悲劇のヒーロー」です。

でも、今はキューバの国旗と日の丸を並べあしらった立派な銅像まで建ててもらい。 よかったね、常長さん、と心の中で言いました。

ただの偶然だと思いますが、同じ日本人として、アメリカ大陸で生まれた双子がこの銅像からなかなか離れようとせず、小一時間、家族でその何もない庭園に居続けました(久々にこぎれいな広い空間でふたりは遊びたかっただけで、両親は歩き疲れて座りたかっただけだけど)。

でも、ちゃんとお侍さんの格好をした銅像をリスペクトの念と共に、この地に銅像を建てる許可を出したキューバ人に嬉しくなりました。

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