市場の拡大が見込めないため、サービスの効率化は必須といえます。製品のアップデートや操作支援などを製品上で対応できるような機能を搭載するなど、人手を必要としないサービスを提供することが必要です。それにより、サービスエンジニアやコールセンターのオペレーターの人員を削減し、生産性の向上を実現する必要があります。
リストラも不可欠です。肥大化した組織体制を見直す必要があります。しかし、その実行が危ぶまれます。というのも、2011年度に発表した中期経営計画において、2013年度までに「人員約1万人の削減」を宣言し実行したものの、結局元の水準に戻ってしまったという過去があるからです。2011年に、デジタルカメラを製造販売するペンタックス(従業員数約1,900人)を買収するなどしたため、結局は1,000人にも満たない人数の減少にとどまりました。
しかも今回の決算で、デジタルカメラ事業において約100億円の減損損失を強いられています。一般社団法人カメラ映像機器工業会によると、デジタルカメラの総出荷金額は2008年には2兆1,640億円ありましたが、その後急速に落ち込み、2016年には7,102億円にまで減少しています。デジタルカメラ市場は衰退しているにもかかわらず、リコーはペンタックスを買収しているのです。
リコーはコピー機以外の事業の育成が不可欠な状況です。例えば、商業・産業印刷が有望視されています。壁面装飾やサイネージ、カーラッピング、衣類やインテリアなどへのデザイン印刷、ラベル印刷といった領域での成長が期待できます。特に商業・産業印刷における「デジタル印刷」は開拓の余地が大きい有望市場です。競合も黙ってはいませんが、突破口になる可能性を秘めています。
リコーは大胆なリストラ策と成長市場の開拓が求められています。そうした状況で、4月12日発表の中期経営計画では、「過去のマネジメントとの決別」を宣言しています。今度こそ、目に見える形で結果を示す必要があるといえそうです。
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