リコーが利益9割減。太りすぎた組織は、名門をここまで追い詰める

 

リコーはリーマンショック後、厳しい経営環境に置かれています。一方、14年連続となる増収を達成するなど、大きな成長を見せていたことも事実としてあります。リコーの成長の原動力となったのが、海外を中心とした販売代理店の買収です。積極的な買収で販売網を広げていきました。

例えば2008年10月に、欧米に約400拠点を展開していたIKON社を約1,632億円で買収しました。同社の2008年9月期の連結売上高は約4,167億円で、同期末の連結従業員数は約2万4,000人にもなります。同社の顧客基盤と営業力に期待し、過去最大規模の買収を行いました。

IKON社の買収はタイミングが悪かったといえます。IKON社の買収に合意したのが2008年8月下旬です。リーマン・ブラザーズが破綻したのが翌9月です。

2008年のリーマンショックで状況は一変しました。企業は事務機器のコスト削減に動き、事務機器は売れなくなりました。ビジネス機械・情報システム産業協会によると、2009年の事務機器の総出荷額は前年比26.6%減となる1兆3,434億円で、急速に落ち込んだことがわかります。

リコーの米国事業は2008年度から4年連続で営業赤字に陥っています。その後は黒字に転換したものの、各年の通期の営業利益率は1~3%程度と低水準で推移している状況です。欧州事業でも振るわない状況が続いています。欧米での事業拡大を狙ってIKON社を買収しましたが、現状は投資に見合ったリターンが得られていない状況と言っていいでしょう。

主力のコピー機市場は厳しい状況が続くとみられます。市場の成長は鈍化しています。デジタル化やモノクロ機からカラー機への置き換えの需要は頭打ちの状態です。今後はモバイル機器などの普及でペーパーレス化が加速していくことが予想されるため、コピー機市場はさらなる苦境に立たされそうです。

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