子どもがテストで80点をとった時、叱咤激励するつもりで、「次はもっとがんばって!」などと声をかけていませんか?「この子はやればもっとできるはず」との期待を込めて言ったつもりの言葉でも、子どもは「自分はできない子なんだ」という自己イメージを抱いてしまうかもしれません。今回の無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』では、非常に難しい「親の叱咤激励の是非」について考えます。
叱咤激励の力
ネットのニュースで、こんなものを見つけました。
「親が叱咤激励することで、子どもの『家事・くらしの力』と『課題解決力』はどう変わる?」
国立青少年教育振興機構の調査で、対象は小学校4~6年生と、その保護者。親子それぞれにアンケート調査を行ったものです。調査自体はかなり広範囲の内容のものですが、ニュースで取り上げられていたのは、「親の叱咤激励(もっと頑張りなさい、しっかり勉強しなさい、などの言葉がけ)」の多さと、「子どもの家事・くらしの力」「子どもの課題解決力」の関連について。
おそらく、叱咤激励する親の気持ちとしては、
- この子は、やればできるはず
- 今よりも、もっとできるはず
との思いがあるのでしょう。だからこそ、子どもの能力を最大限に引き出そうとして叱咤激励の言葉を投げかけているのだと思います。加えて、一部の方には
「褒めると、子どもが努力しなくなる(油断する・慢心する)」との考えもあるかも知れません。はたして、結果は…、
叱咤激励を「よくする」家庭の子どもは、「暮らしの力」「課題解決力」が低かったのです。
この調査では、因果関係までは明確になっていません。「親が叱咤激励すると、子どもの力が伸びない」かも知れませんし、「子どもの力がないから、親が叱咤激励する」のかも知れません。
ですが、仮に後者だったとしても、子どもが現時点で「力がない」のは、「親が子どもに対して叱咤激励するタイプ」であることも原因の1つでしょう。
考えてみてください、子どもは最初は皆「力がない」状態です。子どもが「できない」ことに対して、親が「叱咤激励」して、その結果子どもは相変わらず「力がない」状態から成長させてもらえない──そんな双方向の因果関係が見え隠れするように、私には思えます。
叱咤激励する親の心の中にあるのが
- この子は、やればできるはず
- 今よりも、もっとできるはず
との想いだったとしても、子どもには、
- あなたは、できていない
- 今のままでは、不充分
というメッセージが繰り返し伝えられてしまうこと、気を付けておきたいところです。