日本政府が語らぬ「ミサイル飛来なら逃げ場なし」の現状

 

国民全体が問題意識を持ち、早急に安全対策が進められるように、北朝鮮の弾道ミサイル発射の探知から着弾(または上空通過)までの時間的な流れを整理しておきましょう。

1)弾道ミサイル発射の情報は米国の早期警戒衛星から北米航空宇宙防衛司令部を経て自衛隊側に伝達されます。

伝えられる早期警戒情報(SEW)には、発射地域、発射時刻、落下予想地域、落下予想時刻などが含まれています。

2)航空自衛隊のJ/FPS-5警戒管制レーダー(通称ガメラレーダー)も、発射直後のミサイルを探知して早期警戒情報を発信します。

3)弾道ミサイル発射の情報は海上自衛隊のイージス艦(BMD艦)と航空自衛隊のパトリオットPAC3の部隊には1分以内、そして首相官邸に約1分で伝達されます。

4)これまでの発射事案では、たとえば人工衛星打ち上げ名目で発射されたケースなどの場合、コースが予告された南西諸島方面に展開したイージス艦、宮古島上空を守る航空自衛隊のパトリオットPAC3の部隊は、発射1分ほどで迎撃態勢に入っており、その3分あまりあとに上空を通過しています。

このようにして飛来するミサイルです。それが東京に向かった場合、探知から着弾まで約7〜8分ほどとされています。いかに発射を探知してから迎撃するまでの時間が短くとも、そしてJアラートの警報(サイレン)が発射数分後に出たとしても、4〜5分でシェルターなどへの避難を終わらなければ被害は避けられないことがわかるでしょう。

ミサイル防衛の能力を強化することはむろんのことですが、避難訓練の定例化避難場所の建設を同時に進めなければ、国民の安全を図ったことにならないことを、いま一度思い起こしてもらいたいものです。

(小川和久)

image by: shutterstock

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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