ところが、前にも紹介したことがある「食べ物のヒソヒソ話」(青春出版社刊)という本に、納豆のルーツについても記載があったので、その中からいくつか紹介してみよう。もっともこれは、確たる証拠にもとづくものでなく、みな伝説に類するものである。
まず、鑑眞和尚説。鑑眞は数度の難破に遭いながら、754年(天平勝宝6年)日本に渡来した中国の高僧。その鑑眞が納豆の製法を伝えたというもの。
また一方、平安時代後期、源義家(八幡太郎)が納豆誕生に関わったという説があるとか。納豆菌の発見は、義家が1083年~1087年に起きた後三年の役を平定した頃のこと。陣中で兵糧として集めた大豆を煮ている最中に敵に襲われた。
そのため、義家は、煮た豆をワラに詰め馬の鞍に付け応戦、数日後、戦いが終わり、ワラをあけて見ると、 納豆菌が大繁殖、煮豆が糸引納豆に変化していた。兵士の多くは「腐った豆」として捨てていたのだが、義家をそれを口に運んでみて、食べられるものと気づく。それ以来、納豆が兵糧にされるようになったというのだが..。
そのほか、千利休が厩(うまや)のワラに落ちていた味噌豆のカビから、納豆を発明したという説もあるとか。先に書いた通り、以上の説に、確たる証拠があるわけではない。
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