そもそものお釈迦様の願いはなんだったのでしょうか? これはどの宗教でも同じだと思いますが、今、生きている中でのさまざまな苦しみからの解放です。仏教では「四苦」ということがあります。「生老病死」、つまり「生まれること」「老いること」「病気になること」「死ぬこと」の四つの苦しみです。
これらの苦しみから逃れるにはどうしたらいいのでしょう。ものすごく、ものすごく、簡単に言ってしまうと「執着を捨てましょう」ということです。もう本当にえらいお坊さんから怒られそうな乱暴なまとめですが、でもそれしかありません。
なかなか執着を手放せないから悟れないのです。わかってるのにたどり着けないから苦しいのです。だからこそ、少しずつ歩めばいいんだよ、というのが教えなのです。
講話で聞いた中で今でも覚えているのは
もし君が1万円、落としたとする。辛いな。なんとかして捜し出したいと思うよな。でも見つからない。いくら探してももう見つからない。
どうしたらいいか。諦めるしかない。でも諦められない。諦められないのはどうしてか? それが1万円だと思うからだ。1万円と思わなければ、1万円じゃないのだから、諦められる。
当時は「なんちゅうむちゃくちゃな」と思ったのですが、それが「執着を捨てる」ということです。落とした1万円は戻ってこないんだから、1万円であることを忘れろ、というのです。なるほど…ですね。難しい話です。
え? 私? 500円硬貨でも探し回りますよ。
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