日本人が知らぬ、トランプ大統領アジア歴訪に隠された本当の意味

 

しかし、9月23日にB-1B戦略爆撃機が今世紀に入って最も朝鮮半島に近いルートを飛行したのに対して、北朝鮮側からはスクランブルの戦闘機の発進がなかったばかりか、防空レーダーさえ作動しなかったという、信じがたいほどの無防備ぶりがさらけ出されたのです。

B-1B戦略爆撃機の接近飛行に狼狽したのでしょうか、北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長が慌ただしくロシア側と協議し、核不拡散会議出席を名目に米国側のウェンディ・ルース・シャーマン元国務次官と接触するなど、なんとしても米国の軍事攻撃を避けようとするかの姿勢が目立つようになっていきます。

そういう展開の中で行われたトランプ大統領のアジア歴訪です。日本の訳知り顔のコメンテーターのように「首脳会談と言っても、通訳が間に入った30分とか40分で何が話せるのか」などと軽視してはなりません。具体的な話を首脳会談ですると考える方が間違いで、それは前もって事務方が行っているのが普通なのです。

トランプ大統領が日本、韓国、中国を歴訪し、ベトナムでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議、フィリピンでASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に出席して、各国首脳から歓迎される姿を「これでもか」「これでもか」と北朝鮮に見せつけ、その光景を圧力として金正恩党委員長に核開発の放棄や凍結などについて決断を迫ったところに、アジア歴訪の最大の意味があったことを見逃してはならないのです。

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