業界3位に転落したマツキヨがなぜ、過去最高益を出せたのか?

マツモトキヨシ 佐藤昌司
 

以前掲載の「マツキヨ首位陥落後にも波乱。ドラッグストア業界は5社戦国時代へ」でもお伝えしたとおり、ツルハドラッグ、ウエルシアHDに抜かれ売上高業界3位に陥落してしまったマツモトキヨシ。しかしここに来て復活の兆しが見えてきたようです。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者の佐藤昌司さんが、マツキヨが2017年4~9月期の連結決算で過去最高益を更新できた背景を分析するとともに、同社の今後を占っています。

マツキヨが復活の狼煙。3位転落も業績好調で反転攻勢

売上高規模で業界首位から3位に転落し、かつ業績の低迷に苦しんでいたマツモトキヨシホールディングスが復活の兆しを見せています。

マツキヨが11月9日に発表した2017年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比3.8%増の2,766億円、本業の儲けを示す営業利益は16.9%増の157億円となり、過去最高益を更新しました。

7~9月期は低温や長雨などで春・夏物が厳しい状況が続いていましたが、8月中旬以降は展開を早めた総合感冒薬やハンドクリームなど秋・冬物が堅調に推移したことが売り上げに貢献しました。また、4~9月期だけで約50店を出店したことと訪日客向けの販売が好調だったことも売り上げに寄与しました。さらに、約30店の不採算店舗を閉鎖したことが収益性の改善につながりました。

このようにマツキヨの目下の業績は好調です。しかし、それ以前は必ずしもそうではありませんでした。近年は業績が低迷していたと言っていいでしょう。

マツキヨは1994年度から22年間にわたりドラッグストア業界における売上高規模で首位を誇っていました。しかし、ウエルシアホールディングスがM&A(企業の合併・買収)などで一気に規模が拡大したため、16年度の売上高でウエルシアが首位に躍り出て、マツキヨは首位から陥落してしまいました。さらに、ツルハホールディングスもマツキヨを超えて2位となり、マツキヨは3位に転落してしまったのです。

その後、ツルハが同業の杏林堂薬局を子会社化したため、ウエルシアと入れ替わる形で、ツルハが首位に躍り出ました。その結果、首位がツルハで2位がウエルシア、3位がマツキヨとなっています。首位と2位が入れ替わりましたが、マツキヨの順位が3位であることには変わりはありません。いずれにしても、ツルハとウエルシアの躍進により、相対的にマツキヨの存在感が低下している状況です。

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マツキヨは業績の低迷でも苦しんでいました。13年度までは売上高を順調に伸ばしていたものの、14年度は前年度を下回り、15年度は上向きましたが、16年度は再び前年度を下回ってしまいました。業績の低迷はグループの店舗数の伸び悩みが大きな要因となっています。16年度に関してはわずか10店の純増にとどまっています。

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