トヨタは知っている? 急速な「EVシフト」に潜む不都合な真実

 

生産設備だけでなく、希土類や希金属などの原料も足りない。ここしばらく中国で希土類の採掘が加速していたのは環境を無視した採掘方法で構わず掘っていたからで、無理がたたって環境が悪化し、今やそんな方法では採掘できない。その上、肝心のエネルギー源たるインフラ電力が足りない

これは、とても鋭い指摘で、私のようなEVシフトに楽観的な見方をしている人でも、このレアメタル不足は一番の懸念です。もしレアメタルが供給不足で高騰すればEVシフトの足を引っ張ることになるのは間違いないと思います。その意味でも、安定したレアメタルの供給ルートを確保することは重要だし、レアメタルに依存しない電池の開発も重要なのです。

さらにEVが夜間のほぼ同じ時間に集中的に充電を始めた時、膨大な電力をどうやって発電し、どうやって送電するのか? その現実的な話に対する合理的な説明を見たことがない。現実を無視した無責任な理想論に過ぎない。

この発言はEVを持つ人の行動パターンを理解していないから出る発言です。電力会社は、電力の需給のバランスに従って電気料金を変えるので(供給が上回る時間帯を安くします)、EVを持つ人は、タイマーを使って、もっとも安い時間帯に充電します。今は、たまたま真夜中が安いので、その時間に充電しているだけです。なので、EVを持つ人が増えて真夜中の電力需要が上がれば電力会社はその時間帯の電気料金を上げるだけで、人々は別の時間に充電するようになります。

確かに、世の中の方向性は緩やかにEVに向かっていくだろうが、おそらく2030年時点でもBEVの比率をグローバルで10%に乗せるのは相当難しい。2040年でも1/3には届くとは考えにくい。

具体的な数字を予想することは非常に難しいのですが、中国政府が猛烈な進化圧を加えていることを考えれば、2030年までに中国国内の電気自動車の比率が30%や50%になっても全く不思議はないと思います。これはヨーロッパも同じで、既に「2040年までにガソリンやディーゼルで走る車をゼロにする」と宣言したのですから、2030年の時点で10%以下にとどまることなどはあり得ず、少なくとも20%とか30%になっていると予想できます。

米国も共和党政権のままでは、国をあげてのEVシフトはしないでしょうが、カリフォルニア州を含む西海岸のリベラルな州はEVシフトを加速するし、政権もいつまでも共和党のままではないでしょうから、2030年までの間に、再び国としてEVシフトに力を入れる可能性は十分にあります。

そうなると、レアメタル不足による材料の高騰などがない限りは、2030年時点で電気自動車の比率を10%に載せることは十分に可能だというのが私の見立てです。

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