他人事じゃない。65歳以上の年金から天引きされる「徴収金」とは

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65歳以上で年金を貰うときに、介護保険料などの「社会保険料」が天引きされることになるのはご存じでしょうか。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、源泉徴収税とは別に存在する様々な「社会保険料」の計算方法や、天引きではなく納付書振込みで対応したいときの確認方法、支払いスケジュールなどについて詳しく解説しています。

65歳以上の年金受給者からの社会保険料徴収はやや独特であり、こんなふうになる(年金からの特別徴収)

65歳以上の方なんですが…年金から介護保険料や国民健康保険料後期高齢者医療保険料個人住民税というのが引かれていませんか? 源泉徴収税とは別にですね。65歳以上の人全員が全員そういうわけではないですが、65歳以上になるとこれらの料金が原則として年金から天引きされるようになります。

税金が引かれるのは老齢の年金だけの話ですが、社会保険料天引きは老齢の年金だけでなく、非課税年金である遺族年金や障害年金からも行われる場合があります。この辺は市区町村がどの年金から天引きするか決める(処理上老齢基礎年金が最優先されますが…)。

年金機構は市区町村から依頼された保険料を天引きしてるだけだから金額の詳細を年金事務所に聞いてもわからない。だから問い合わせの場合は市区町村になる。

というわけで、この年金からの社会保険料天引きを年金からの特別徴収と言います。年金は偶数月に年6回支払われるのが原則ですが、その間に特別徴収する際は、大きくわけて仮徴収と本徴収を行います。

まず、年金から社会保険料を天引きする際は、4月、6月、8月の年金から仮徴収。10月、12月、2月の年金で本徴収を行います。なんで、こんなふうに分けてるんでしょうか。これは前年所得の確定時期(6月頃)に関係します。まあとりあえずここまではなんの事か分からないと思いますが、下の例をご覧ください。

今年の4月、6月、8月から天引きした保険料や個人住民税は今年の2月に天引きされた金額をそのまま「仮に」使って、4月、6月、8月の年金から保険料等を徴収します。要するにその4月~8月間はまだ今年徴収する保険料額が確定してないから(前年所得が確定するのは6月あたりですが、事務処理関係上間に合わないから8月まで余裕をもたせている)、2月の年金に引いてた社会保険料をそのまま使い続けるわけです。前年所得が確定してなくて徴収する金額が分からないから、仮のまま金額を使って年金から天引きするという事です(仮徴収)。

そして今年の保険料納付額とかが確定するのが6月なので、その確定した保険料額から4月、6月、8月まで年金から引いてきた保険料を除いた金額を10月、12月、2月の3回で均等にして保険料を徴収します。この10月、12月、2月に天引きする事を「本徴収」っていいます。

つまりはこういう事であります。

例えば、今年の2月の年金から本徴収で天引きされた介護保険料が15,000円だったとします。でも、今年の徴収しなければならない保険料金額は前年所得が確定する6月にならないと保険料の計算できないからその2月に年金から引いた15,000円をそのまま4月、6月、8月の年金まではとりあえず仮に天引きし続けます(←仮徴収)。

そして前年所得が確定する6月において、今年徴収する介護保険料が例えば96,000円に決まりました。となると、4月、6月、8月で仮徴収した合計額45,000円を今年の確定保険料額96,000円から引き(96,000円-45,000円)、残りの保険料額51,000円を10月、12月、2月の3回で割って17,000円ずつ10月、12月、2月の年金から保険料を天引きします(←本徴収)。

で、最後の2月の本徴収額17,000円を使って、次回の社会保険料が確定するまでは4、6、8月の年金からの保険料天引き額はそれぞれ17,000円の仮徴収でとりあえず引き続けて、また前年所得確定したら10月から本徴収に~の繰り返し!

年金からの特別徴収はつまるところそういう事なんです。

年金から介護保険料国民健康保険料とか後期高齢者医療保険料個人住民税を天引きする場合はこのような徴収の仕方をします。「去年の所得が下がったはずなのになかなか社会保険料下がらないな~!! おのれ~社会保険料め~!!」というのは仮徴収してるからなので、保険料徴収額が下がるのは10月の年金支払いまで待つ必要があります(前年所得が下がった場合は10月からの徴収金額が下がる。もしくは無い。場合によっては還付が発生する事もある)。もちろん前年所得が高くなったなら、10月からの本徴収額が上がります

なお、天引きが開始するまで納付書で社会保険料を納めてた場合は、それまで納付書で納めた額を引いた残りの額で上記のように年金振込回数で割って均等にして、保険料を年金から天引きします。

注意

個人住民税は年金所得のみについて取ってます。なお、非課税年金からは取らない。例えば給与所得とかは給与から個別に住民税を取る。年金からまとめて徴収してはいない。

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