800基の行燈に囲まれて命の大切さを感じに「地蔵盆」の京都へ

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毎年8月の終わりに行われる「地蔵盆」は、京都発祥と言われる地蔵菩薩の縁日である8月23日・24日に行われる行事です。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者で京都通の英学(はなぶさ がく)さんが、地蔵盆の時期に行われる幻想的な「千灯供養」を紹介しています。

化野念仏寺の千灯供養

毎年8月下旬の地蔵盆の時期に化野念仏寺で千灯供養が行われています。化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)は嵯峨野の最北に位置する嵯峨鳥居本にあります。この辺りは昔の町並みが残る街道です。

夕方になると街道に沿いにある約800基の行燈に灯がともる様子は幻想的です。そして念仏寺境内の西院の河原に祀られている数千体の無縁仏にもろうそくが供えられます

晩夏にゆらめく「ともしび」に、はかなさや時間の大切さを感じることでしょう。

嵯峨鳥居本は江戸時代に愛宕山の頂にある愛宕神社の門前町として栄えました。宕神社は火伏の神として全国から信仰を集めています。特に地元京都人の台所には「阿多古祀符火廼要慎」と書かれた愛宕神社のお札が貼られているお宅が多いようです。

愛宕山のふもとには頂上にある愛宕神社の一の鳥居があります。そこから化野念仏寺を経て、二尊院、嵯峨釈迦堂(清凉寺)辺りまで昔の町並みが続きます。
この辺りは重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

化野は、東の鳥部野、北の連台野、と共に京都の三無常風葬の地であったといわれています。

化野念仏寺は、空海が9世紀始めに小倉山寄りを金剛界、曼荼羅山寄りを胎蔵界と見立てて、千体の石仏を埋めたのが始まりと伝えられています。間を流れる曼荼羅川の河原に石仏を立て五智如来寺と称しました。

化野念仏寺の千灯供養は毎年8月23日24日に行われています。念仏寺境内の西院の河原にまつられている8,000体の無縁仏に参拝者がろうそくを灯し供養する行事です。日が沈むとろうそくの炎がゆらゆらと揺れる様だけが見え、とても幻想的です。

渡月橋から嵯峨野までの道のりは見どころがいっぱいあります。天龍寺、野宮神社、竹林の小径、大河内山荘、嵯峨釈迦堂、大覚寺、落柿舎、常寂光寺、二尊院、祇王寺。そうそうたる名所ばかりです。

そしてその最後が愛宕山ふもとの嵯峨鳥居本になります。ゆったりと散策して歩くのに良いところです。そして愛宕神社の一の鳥居前に建つ茅葺き屋根の鮎茶屋「平野屋」に立ち寄ってみて下さい。とてもホッコリとした気持ちになり疲れた身体も癒されることでしょう。

過ぎゆく夏の終わりを感じるのには一番の名所だと思います。もの悲しさを感じながら平成最後の夏を過ごしてみてはいかがでしょう。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Wikimedia Commons(663highland)

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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