行列、パクリ、下克上。スイーツの聖地・原宿アイス戦争の舞台裏

2018.08.28
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粉雪のように口解けが良い「ソルビン」

韓国から2016年6月日本に上陸したソルビン」もまた、従来のかき氷の概念では語れない店だ。場所は原宿駅前の商業ビル2階にあり、駅前で連日行列ができている。オープン初日は250人の長蛇の列となったそうだ。炎天下で行列を並ぶ人に日傘の貸出を行っており、サービスの良さは見習うべき点が多い。

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「ソルビン」は13年に釜山に1号店が生まれて以来、瞬く間に評判店となり、FC(フランチャイズ)システム導入により、瞬く間に韓国国内に約500店を展開するようになった、韓国で近年最も成功した企業の1つでもある。

ソルビン原宿店のマップとメニュー

ソルビン原宿店のマップとメニュー

「ソルビン」は漢字で「雪氷」と表記する。丼鉢に氷を山盛りにして、素材をたっぷりと載せるスタイルは、台湾の「アイスモンスター」に似ている。「アイスモンスター」と同様、氷に予め味が付いていて、ミルク味が基本となっている。

しかし、「ソルビン」の氷の質はサラサラとした軽いパウダースノー的で、粉雪のように口解けが良い。濃厚な「アイスモンスター」とは食べた感じが全く違うので、オリジナリティを持っている。

創業者のチョン・ソンヒ氏は、日本に留学経験があり、日本の伝統的な和菓子が若い人にも受け入れられるように革新を行い、百貨店やコンビニで洋菓子と同じように陳列されていることに衝撃を受けた。韓国では伝統的な菓子が、お金を払ってまで食べるものとは、考えられていなかったからだ。

ソルビン「きな粉餅ソルビン」 copy

そこでチョン氏は韓国で親しまれてきた、きな粉餅にアーモンドをトッピングし、きな粉にマッチしたパウダースノーのかき氷の上から覆い尽くすという誰も見たこともないユニークな商品を開発し、経営していたカフェで売ったところ大ヒット。この「きな粉餅ソルビン」をメインにしたデザートカフェ「ソルビン」を新たに誕生させると、一大ブームを起こした。日本でもヒットし、福岡に2店、仙台と川崎にも店があり、計5店となった。きな粉餅などを使った新感覚のトーストもあり、従来の辛い韓国料理とも一線を画している。

ソルビン店内

ソルビン店内

「ソルビン」は2020年までに日本で50店のオープンを目指すとの報道もなされたが、高額で非日常的な商品なのでそこまでは無理としても、20店近くまでは行く可能性がある。

気になるのは顧客層が10代後半から20代前半の女性、カップルに偏っていることだ。「ロールアイスクリームファクトリー」や「アイスモンスター」、人気のパンケーキ店などでは、ファミリーや男性の顧客、外国人観光客も3~4割は混じっているのだが、多店舗店化を目指すのならファミリー男性にもリーチする広報活動が必要だろう。

また、2017年4月には原宿に、やはり韓国から人気スイーツ店の「ウィキッド スノー」が出店している。魔女をテーマとしたコンセプトカフェで、内装はおしゃれで楽しい。

ウィキッドスノー店内

ウィキッドスノー店内

「ソルビン」と競合するような商品を出しているが、行列ができるまでには至っていない

裏通りの地下に店があり中の様子がわかりにくい不利はあるが、隠れ家的な立地なので前出「台湾カフェ Zen」と同じく、内容からもう少し人気が出てもいいように思う。しかし、日本の消費者から見ればまず目指すべきはソルビン」であり、競合2番手以下までは視野に入ってきてないようだ。

ところで、「ラフォーレ原宿」の裏手には、大阪発祥の「雪のはな」という店があり、「ソルビンに激似の商品を出す店と噂になっている。確かに、この店人気ナンバーワン「きなこ雪」なるメニューのビジュアル、内容ともに「ソルビン」の商品と見間違えるほどだ。違いと言えば、お好みで練乳がかけられることだろうか。

雪のはなの看板商品「きなこ雪」

雪のはなの看板商品「きなこ雪」

この件について、「ソルビン」の日本での展開を行う輸入商社のエンポリオ(本社・東京都江戸川区)に確認したところ、「ソルビンからメニューや技術の指導提供は一切行っていない」とのことだ。「雪のはな」1号店の大阪心斎橋店のオープンは14年9月。翌15年9月には東京に進出して原宿店を出店している。

「ソルビン」が進出してからは、「ソルビン」が混んでいて行列に並ぶのが苦痛な人が、よく使っているとも聞く。もう少し「ソルビン」の展開がゆっくりしていれば有利な展開にもなっただろうが、案外と出店ペースが早い。果たして生き残れるか、苦しい情勢に追い込まれつつある

勝者に便乗しようと模倣業者がブームにすがろうとするロールアイス、勝者と敗者が鮮明に分かれつつあるかき氷。猛暑の中、原宿・表参道のアイス戦争は、長蛇の行列により、熱中症で倒れる者も続出する顧客たちの熱過ぎる思いで、氷を融かすほどヒートアップしているのである。

photo by: 長浜淳之介

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

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兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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