台湾代表の選手に「中国」のテロップ。炙り出されたTBSの媚中度

 

中国の仕組んだプロパガンダは、ネット時代の今国内でも通用しないということでしょう。話を冒頭のTBSに戻しますが、TBSもこうした批判が出ることがわかっていながら、なぜ媚中的行為をするのでしょうか。会社の方針として、中国の主張を遵守するから批判や訂正要請にも応じないというのなら、それも一つの姿勢でしょうが、結局は後から訂正するわけですから本当に情けないことです。

「一つの中国」をめぐって中国と台湾がもめていること、中国が「台湾」表記を取りやめて「中国」表記をするように他国企業に強要していること、また一方で、実質的に台湾は民主主義国家であって、中国とは全く異なること、大半の台湾人の意識も自分たちは中国人ではないと思っていることなどは、すでに日本でもよく知られるようになりました。少なくとも、メディアで国際関係に携わっている者なら、「常識の範囲でしょう。

「知らなかった」などということはあるはずもないことで、結局、中国の顔色を見ながら、「反発があったので表示を戻しましたが、一応は、中国の主張に沿って表示しました。努力しました」というアリバイ作りをしたかったのではないかと疑ってしまいます。

先に、日中高官協議の冒頭取材を産経新聞が中国から拒否され、そのために日本記者クラブが一丸となって取材をボイコットしました。私もだいぶ以前とは日本のメディアの姿勢が変わったと思いましたが、日本国内においては、メディアの中国への忖度ぶりはまだまだ健在のようです。

先のメルマガでは、日中記者交換協定のことを述べましたが、日本のマスメディアも、そろそろ戦後ずっと続けてきた媚中姿勢を改め自分の力で前進するべきです。

ところで、中国政府が台湾を「中国」と表記することは、国共内戦時代からあり、決して近年に始まったことではありません。自分の願望を一方的に押し付けるのが中国のやり方なのです。

とくにこのところ、中国が台湾への圧力を強めている背景には、「92共識」(国民党政府と中国共産党が1992年に、どちらが統治主体であるかは別として、「一つの中国」で合意したとされる認識。蔡英文総統や李登輝元総統はその存在を否定している)を、蔡英文総統が認めないことがある。

さらに、米中貿易戦争が過熱するのと同時に、アメリカは「台湾旅行法」を制定して米台の政府高官の相互訪問を促進させたことも大きいでしょう。中国はアメリカに対しては表立って手も足も出ないため、その鬱憤を台湾いじめに転じ、スポーツの場でも、台湾を中国と表記するよう各国各社に圧力をかけているのでしょう。

台湾に対しても、あの手この手で「いう通りにしろ」と強要しているのです。しかし、中国がそうすればするほどアメリカと台湾は接近し、アメリカは台湾を支持するようになります。それだけ、中国の焦りが表面化し世界に中国の醜態がさらされるわけです。

チベット、ウイグル、南シナ海、東シナ海問題と同様に、中国は力によって台湾を併呑しようとしていることが、明らかになってくるわけです。

「台湾は中国の絶対不可分の一部」という主張は、江沢民時代に作成された「台湾白書」にまも書かれていました。中国がどれだけ台湾が欲しいかがわかります。この主張は70年近くも続いています。いつか「武力統一」するという噂も常にまことしやかに流れています。

しかし、ではそれはいったいいつなのかというと、誰にも分かりません。米中両政府にもわからないでしょう。米中は現在、貿易戦争に夢中です。双方とも、これにいつまで耐えられるでしょうか。

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