米中貿易戦争で強気の姿勢崩さずも、すでに敗北の軌道に乗る中国

 

米中貿易戦争の今後の展開については様々な議論がなされていますが、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんはどう見ているのでしょうか。北野さんは今回、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、中国情勢に詳しいミンシン・ペイ教授の解説を引用しながら、習近平政権が崩壊に向かっているという「事実」を解説しています。

中国がアメリカに勝てない3つの理由

米中貿易戦争が、米中覇権争奪戦争に転化してきた。少し前までは、「は??トンデモ?」という反応でしたが、今では、「ですよね~~~~~」というリアクションに変わってきました。

で、アメリカと中国どっちが勝つの?これについて、10月15日号「日本の岐路」の最後にこう書きました。

「というか、中国が勝つというシナリオはないですか?そんなことを主張している、人たちもいますが…」。ありません。

今回は、「なぜ中国は勝てないのか?」をクレアモント・マッケナ大学のミンシン・ペイ教授が解説してくださいます。出所は、産経新聞10月16日付。

ソ連の興隆と崩壊

皆さんご存知のように、世界初の共産国家ソ連は、1917年の「ロシア革命」で誕生しました。ソ連は、第2次大戦中、アメリカ、イギリスと組んでナチスドイツをぶちのめした。それで、戦後は、一気に勢力を拡大します。東欧、中国、北朝鮮などを共産化した。そもそも共産国家の「国是」は、「資本主義を打倒して共産主義世界をつくる」こと。資本主義、民主主義の国々とソ連が対立するのは必至でした。

米ソ冷戦初期のころ、ソ連がやがて米国を追い越すことになると考えられていた。共産主義が欧州に浸透し、ソ連経済は今の中国のように年6%近い成長だった。ブレジネフ時代には550万人の通常兵力を持ち、核戦力で米国を追い抜き、ソ連から東欧向けの援助が3倍に増えた。
(同上)

そうなんです。かつて、「ソ連はアメリカを追い越すと思われていた。私が子供だった70年代は、そんな風に考えられていました。今では、想像もできませんね。

だが、おごるソ連システムに腐食が進む。一党独裁体制の秘密主義と権力闘争、経済統計の水増しなどどこかの国とよく似た体質である。やがてソ連崩壊への道に転げ落ちていった。
(同上)

メインテーマではないので、簡単に書いていますが。80年代になると、ソ連は急速に衰退していきました。レーガンさんは、ソ連を「悪の帝国」とよび、対決姿勢を鮮明にした。サウジアラビアの協力をとりつけ(ソ連の主要な外貨収入源である)原油価格を下げた。さらに軍拡競争をソ連にしかけ、同国経済を破壊した。ソ連は1979年、アフガンに侵攻。この無益な戦争も、ソ連の寿命を縮めました。

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